「いいえ、私もお世話になっているんですもの。
ここがもっと繁盛するなら、私も嬉しいから。
…あ、でも忙しすぎて私が予約できなくなったら困るわね。」
雑誌紹介の件での受け答えをしながら、苦笑します。
施術師たちは芸能人相手だけでなく一般客の通常施術も行うため、そちらで忙殺されてしまったらこうして施術してもらうことはできないのだと気づいたからです。
「そう、最近のReonちゃん、ストレスが溜まって険しい顔ばっかりで心配してたのよ。
これを見ると、もう十分に発散できているようで安心したわ。」
「スターマインの5人組も、いつも5人一緒で仲よしですものね。
妊娠も5人同時なんて、素敵な考え方ね。」
このサロンで、妊娠を当然のことだと考えるようになった芸能人たち。
紹介した子たちがタブーという概念から自由になる姿を見て、私も下腹部を熱くします。
「じゃ、コウくん、アツシくん、よろしくお願いね。」
バスローブを脱いでアツシくんに預けると、カメラを向けて固定するコウくんに向かい舌なめずりします。
「ええ、防犯のため、ですものね。」
何の躊躇もなく施術台の上で仰向けになります。
この撮影が外に洩れると私の芸能人生が崩壊するのは明らかです。
けれどそれは、このサロンも同じ。万が一にも流出することがあれば、ここの信用も失墜するのですから。
あくまでもここのスタッフたちや芸能人客だけが目にすることのできる画像。それが信頼となっているため、恐れることはないのです。
「あ、そうそう。
私、今日は危険日なのよ。
…その、つもりで、お願い、しますね。」
わざとゆっくりと分節を刻みながら伝えます。
それが何を意味するのか、施術師たちはもちろん理解していました。
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