心なしか呼吸が乱れているようにも感じる。
荒い吐息高鳴る鼓動。いいしれぬ達成感。
この感覚はなんだろう…。例えるなら初めて任された仕事を無事に成し遂げた時のようにも感じる。
それでありながらそれとは全く別の…経験が少ない私にとって、それがなんなのか理解しがたい感覚だった。
「恥ずかしい…。」
率直な感想だった。口から零れたその言葉が全てを物語っているかのように…。
「若い部下の存在が…?そんなはずはないわ…。あんな出来損ないの役立たずなんか…。」
新たなコメントに毒づきながらも、身体の芯では妄想の中のそれを忘れられないかのように疼き始めていた。
《「どんな顔…。そう…イヤらしい顔…ニヤニヤと…薄気味悪い笑みを浮かべて…。」》
妄想の中に再びあの光景が浮かび上がる。
ニヤニヤと笑みを浮かべて、イヤらしくギラギラと輝く瞳が舐め廻すような視線を這わせてくる…。
《「そう…そうね…私はあの時…いつもの私じゃなかった…。威厳…?そんなもの…どこにもなかったわ…?
そう…あんな出来損ないの役立たずに…恥ずかしい姿を晒して…見せつけてたの…。」》
妄想はより鮮明に蘇り、身体を熱く昂らせるほどに追い込んでくる…。
《「そう…見ていたわ…?私が脚を開いて…スカートを捲り上げて…。その奥に…あいつの視線が突き刺さってた…。
スカートの奥…甜め廻すように…イヤらしい視線を…私の白いレースのパンティに…。
そうね…あいつは…私を見下してた…いつも厳しい上司のくせにって…。」》
コメントを目で追いながら、その文字と…いや…その文字を生み出した何者かと会話するように呟き、それと共に言葉通りの文字を打っていく…。
《「そうね…迷ったわ…?こんな事…言われた通りにして…その先に何があるのか…。
そう…ケダモノよね…常識ある私がする事じゃないわよね…?
そう…思ったわ…?
でも…私は…そうね…貴方が言うように…従うことを選んだのよ…。
何故…。何故選んだのか…それは私にもわからない…。
そうしたいと…私自身が言っていたのかもしれないわね…。」》
呟きながらコメントを打っていく。
呟けば呟くほどに…声を文字にすればするほどに…身体の中に昂りのような疼きのようなむず痒さがこみ上げてくる…。
コメントを打つ手を止めて考え始める。
コメントと会話するように呟きながら…自分自身に問いかけるように…。
「また…やる…?そうかしら…またやるのかしら…。」
その呟きは自分自身への問い掛けだったのだろうか。今かもしれないし明日かもしれない。少し空いて来週なのかも…。
そんな言葉が私の中に問い掛けのこだまを響かせる。
今…この昂り…口にはしていない…もちろん文字にも起こしていない…私しか知らない感覚…。これを再び…明日なのか…来週なのか…先のことはわからない。
気が向くかどうかもわからない…気が向いたとしても今日のように一人になる機会があるかもわからない…。
問い掛けの言葉が響く度に、今の昂りを大切にしたいという想いが込み上げてくる…。
「明日…?明後日…?それとも来週…?
そんな先の事はわからないわ…?
今のこの感覚…これってなんなの…?
ドキドキするような…込み上げてくる欲求みたいなコレって…なんなの…?」
そして呟きながら綴ったコメントの続きを打ち込んでいく…。
《そうなのかしら…私は…自分一人では何もできないのかしら…。
それは貴方が言うように…従わされる事に…焦がれているのかしら…。
そんなはずはない…私は強い女なの…誰かに従わされるなんて…しかもこんなに卑猥な指示に…。》
文字に起こしてみると考えていたよりも更に卑猥で淫らに思えた。
しかしながらその文字を綴ったのは誰でもない…私自身であると思えば、なおさらにその文字の魅力に取り憑かれたかのように…。
《わかるの…?
私の白い下着の中心が少し…。
そうね…貴方が言うように…私の清楚で綺麗なはずの白いレースのパンティは…中心が少し湿って汚れてしまったわ…?
これは私が…露出に焦がれ…従わされる事に…焦がれている…って言うことかしら…。》
まさか私が誰ともわからない相手に、こんな告白をする事になろうとは思ってもみなかった。
しかし私はいつの間にか…そう…口調はいまだに強く振る舞おうとしていながらも、見えない相手からの責めを求めてしまっているのかもしれない…。
《素直に…なれるのかはわからない…。
でも…いつか…いつの日か…そんな先の事はわからないの…。
今…私は…貴方が言うように…焦がれているのかもしれないの…。
新たな楽しみ…。新たな…興奮…。新たな…快感を…見つけ始めてしまったのかも…。
そう…私は今まで感じたことない…新たな悦びを見つけてしまったのかもしれない…。》
ありえないことだった。ほんの少し文字を交換しただけで素直な気持を言えるようになるとは…。
それは…こういったサイトでは珍しいタイプ。ガツガツしているわけでもなく、高圧的でもなく、サイトに限らず私の身の回りには居なかった存在…。
何故かこの時間を途切れさせてはいけないような感覚に陥り…。
《今…まだ大丈夫かしら…?今なら…素直に貴方の指示に従えるような気持ちなの…。
初めて知った感覚が…どう言うものなのか…まだわからないの…。
それを知りたい…。貴方に指示されて…実行することで…それがわかるのなら…。
今私…何をしたらいいの…?》
更なる指示を請う…。そんな言葉を文字にしてしまったのは、かねてからこじらせ続けてきた不満というものが一気に吐き出されてしまったのだろうか…。
突き放された感覚…妙に踏み込んでくるでもないこの相手…。
文字の交換だけであれば実生活に悪影響は及ぼさないだろうと考えていた。
それが甘い考えであることなど知る由もなく…。
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