コメントを上げ力なく椅子に凭れる私は呆然とフロアを眺めていた。
いつもなら視界の中に何人もの部下が働いているであろう。
仕事という生活の中で一番大切とも言えるその場所で淫らな指示に従い好奇心に任せて及んでしまった行為。それを思い浮かべると身体の疼きは更に私を追い詰めていく。
しかしながらそれと同時に私の中で冷静な私が自分自身に『なぜ…?』と問いかける。
思えば今までの人生、男性にへつらう事など一度もなかった。
物心がついた頃からそれは始まっていたのだろう…。
私の周りの男性に接する時、私はいつも心の中で『貴方より私の方が優れている…。』と感じていた。
それは力強い視線、表情、態度、それに言葉遣いに至るまで全てに滲み出していただろう。
社会的に対する男性だけではなく、交際している男性にまで心を許すことはできず、日常の私と変わらないプライベートを過ごしてきた。
だからなのか…男性との交際は長続きしたことがなかった。
私の容姿に惹かれ近づいてきた男性達も、いずれは必ず離れていく…。そんな警戒心のような感情が素直な私を表すことができなかったのだろうか…。
まさに鎧を纏い仮面をつけた虚勢を張った女…だったのだろう。
それが今はどうしたのだろう…。これほどまでに素直な自分を表現できるのは…。
誰ともわからない存在で実生活に関わる事がない安心感なのか…。
面と向かって話をしていないからこそ、私の表情を見せなくて済む気楽な空間だからなのか…。
いずれにしても、この今の心地よさを手放すのはもったいない。今のこの関係の心地よさを知ってしまった私はサイトの文字に魅了され次第に惹き込まれてしまったのだろう…。
仮面も鎧も必要のない空間。意地を張る必要も強い女でいる必要もない世界…。
それこそが私が求めていた事なのだろうか…。あの日…部下の机の中から現れた雑誌を見た時の衝撃。その心に突き刺さった正体を知りたいと…その事が頭から離れなくなっていた…。
初めは警戒し虚勢を張っていた私も、いつの間にか素直に私を表現できる空間を見つけてしまった。
故に…。
《ごめんなさい…私が間違っていたの…。
初めから何も試さないままで答えがわかったような事を言って…。
貴方が言うように…そう…何事も経験してみないと…わからないわよね…?
頭ごなしに貴方の意見を否定してしまって…本当にごめんなさい…。》
人に謝る…そんな経験もなかった。全ては私が正義…そう思って生きてきた私にとって謝罪と言う言葉すらなかったのかもしれない。
この謝罪が正しいのかすらわからないでいた…。
自分の中の疑問をひとつひとつ紐解いていく間に送られてきたコメント…。
それを目にした瞬間、強い女であるべき私が職場で…。
一瞬の躊躇いの後、驚愕の表情は薄っすらと笑みを浮かべて蕩けたように変化する…。
強さを誇示しなければならない職場でありながら淫らな指示に従う私を蔑むような言葉も私の心をえぐり擽るように響く事をわかっているのだろうか…。
指示に従っていたはずの私はいつの間にか心を支配され始めてしまったのだろうか…。
気怠い感じにゆっくりと立ち上がると、スカートの中に差し込んだ両手はストッキングを脚から剥がしていく…。
股間部分には染み込んだ蜜がストッキングの細かい網目を塞ぐように輝いている。
「こんなに濡らしちゃうなんて…。」
驚いたような表情も、どこか嬉しそうに微笑み、再び差し込んだ手は股間を無防備にするべく下着を剥がしていく。
スルスルと滑る感覚が肌に伝わり、その感覚がドキドキ感とゾクゾク感を私に与え…。
「これで私…自由になれるのかな…。」
肌を滑り落ちて剥がされていく下着が、まるで仮面を剥がされ鎧を脱ぎ捨てるような晴れ晴れしい感覚にすら思えてくる…。
今までの日常ではあり得ないほどの淫らな行為…。やはり…すでに心を操られてしまったのかもしれない…。
《脱ぎました…ストッキングも…下着も…。
職場なのに…いつもは部下を叱責する強い上司のはずなのに…。
こんなに濡らして…汚した下着を…職場で脱いでしまうなんて…。》
全てはコメントの最後の言葉…。
『露出狂いの…淫乱上司…。』
その文字を目にした瞬間…ゾクッとする感覚が私を壊し始めていくのかもしれない…。
【遅くなりすみません…。
今日は出先から覗いているので、書きたいことの全てを表現できなくてすみません。
返信も遅れてしまうかもしれないですし…。】
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