二人の熱いセッションは続いていた。
私にすれば、欲求不満の吐口、浜中さんにとっては、至福の時間だった。
ずっと往年のファンで、テレビやステージでしか見る事の出来ない私と二人っきりで過ごせているのだから・・・。
その上、ここは密室で防音対策されているのだから・・・。
浜中さんの感情が高ぶるのも無理は無かった。
ドラムを叩く、私の脚に惹かれてか、何度も座る位置を変え、食い入る様に視線を送る浜中さん。
ちさと(やだ・・・ずっと私の脚・・・いや、ショートパンツの隙間を見ているんじゃない?・・・)
股間に突き刺さる様な視線に、違う意思を感じた。
ちさと「どうしたの?」
思わず私は演奏する手を止めてしまう・・・
今更に貞操の危険を感じたのだ。
ちさと「だって、目が怖いよ・・・」
私の言葉と反応に浜中さんは我にかえったのか・・・
浜中さん「ごめん・・・ちょっと考え事を・・・」
更に、私がようすけさんを気に掛け始めると、浜中さんは演奏をやめて
パソコンディスクの上に置かれた描き掛けの歌詞に気付いた。
浜中さん「あっ、これ新曲ですか?」
私はスタジオ部屋から出ようとした足を止め浜中さん近寄った。
ちさと「うん、まだ描きかけなんだけどね」
浜中さんは歌詞に目をやると、興味深げに感想を言った。
浜中さん「ずっと、ちさとさんの曲って応援歌や故郷を綴った歌が多かったけど・・・」
歌詞には恋愛的な要素が描かれ、少し寂しさや苦しさが滲んでいた。
それは自分が置かれている立場と心境を滲ませていたのだった。
浜中さん「私がおばさんになってもって曲があるじゃないですか?もしかして、それの続編なのかな?・・・」
私は浜中さんに、自分の寂しい気持ちを見透かされている様な気がした。
結果的に、スタジオ部屋を出ると雨が止んだ事を知った。
リビングのソファに横たわる、ようすけさんは既に深い眠りに陥っていた。
おひさまが顔をだし、作業には問題無いが私は・・・
ちさと「あらら・・・今日は無理ね・・・」
私が肩を落とすと、浜中さんは話をすげかえる。
浜中さん「じゃあ、気晴らしにちさとさんこの島の散歩に行きませんか?」
当然、浜中さんの下心も見え隠れしているが、私は浜中さんの提案に乗ってしまう。
ずっと、私の気を引こうとしている浜中さん、一方、深酒して眠ってしまっているようすけさん。
その二人を天秤にかけ、私は破滅の扉を自ら開いてしまった。
(そうだね・・・ようすけさんのスキャンダル面白いかも・・・
そうなると、事を起こすのは少し先になるけど、浜中さんは良いの?)
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