展望台から覗く新居
暗くなり掛けるとカーテンが閉められた。
部屋の明かりに人影が薄っすら浮かぶ影
やがて明かりが消えた。
次の朝。
パジャマ姿でちさとさんが窓のカーテンを広げだ。
思わず身を乗り出し望遠レンズを覗く
キッチンテーブルで朝食を摂ると二人の姿が消えた。
暫くすると玄関から帽子を深く被った二人が出てきた。
何でもない光景だったが思わずシャッターを切った。
二人は景色を楽しんでいるかのようにゆっくりと歩きながら野草に手を触れていた。
その光景は、直ぐに散歩していると察した。
「よ〜し!チャンスだ…」
鍵を掛けていない事は望遠レンズで確認していた。
宏之は直ぐに行動に移そうと灯台の階段を駆け降りた。
二人の姿が消えると…。
周りの景色が急にセピア色になったかと思ったら目が回ると同時に倒れ込んだ。
それからの記憶はない。
何時間経ったのだろうか?
人の話し声が薄っすらと聞こえる
ゆっくりと目を開けると、目の前にちさとさんとようすけが心配そうに見ていた。
「あっ!気がついたみたいよ」
被っていた帽子を宏之に向けて扇いでいた手を止めてちさとさんが言った。
「おい!大丈夫か?」
ようすけも声を掛けた。
宏之は、キョロキョロと周りを見渡す
どうやら二人は木陰に運んでくれていた。
「大丈夫です…ありがと…」
立ち上がり二人にお礼を言い掛けたが足もとがおぼつかず体が崩れた。
ようすけは宏之の体を支え
「おい!本当に大丈夫か?」
「ここには医者も救急車も居ない!」
ようすけが医師を演じたドラマのワンシーンを見ているようだった。
「軽い日射病だと思いますので…本当に大丈夫です…」
宏之が言うとお腹の虫が鳴った
(ぐう〜)
ちさとさんは何の音と首を傾げる
「すみません!昨日から何も飲まず食わずで…」
宏之が言うと二人は安心したかのようにお腹を抱えながら大笑いした。
ちさとさんはお昼を誘ってくれた。
その言葉にようすけも頷いた。
※折角、盗聴器を仕掛けやすいように鍵を掛けないで探索してくれたのですが、引っ張っていてもと思い二人に出会せました。
ちさとさんの考えるイメージじゃなければ訂正しますので。
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