チラリと見上げた一ノ瀬さんの表情は茫然としている様でいてどことなく嬉しそうな…よく分からない複雑な表情をしていた
それはそうだ、幼馴染の夢に出てきた自分が怪人に襲われてるだなんて聞けば複雑にもなるだろう
「チーちゃん?…」
ボカシはしたが内容がショックだったのか黙ったまま動かなくなってしまった彼女に声を掛けると
『……………たの?』
なにかを呟いたみたいだが良く聞き取れない
「えっ?なに?」
聞き返してみると少し顔を紅潮させた一ノ瀬さんが
『そ、その…夢の中で…私は…怪人に…な、何をされたの?な、縄で絞られて…そ、それから何を…?』
言える訳がない…僕自身の性格も疑われる様な内容でわざわざボカシたのに、更に踏み込むように質問してきた
慌てた僕は「そ、そんなの覚えてないよ…」そう言うのが精一杯で再び顔を背けてしまう
目の前で座っている一ノ瀬さんは身体をちぢ駒せて少し震えながら
『あ、あのね…子供のころ…ゴッコ遊びをした時…わ、私…縄跳びで…縛られると…す、すごく…ドキドキ…してたんだ…な、なんてかよく分からないけど…身体中がゾワゾワってして…』
暫くの沈黙の後、言葉を続ける一ノ瀬さん
『この前…公園でゴッコ遊びのことを話したでしょう?ずっと忘れてたんだけど…あれからあの時のことが頭から離れなくて…私が見た夢でも私は怪人に酷いことををされるの…自由を奪われ服を剥ぎ取られ…酷いことを…なのに私…夢から覚めても子供の時みたいにドキドキしてて…私って…ヘン…なのかな…?こんな話…圭ちゃんにしかできないし…ねぇ…圭ちゃん…私ってヘン?』
その言葉に驚いて視線を貴女へと戻すと、恥ずかしさを必死に抑えなんとか想いを伝えてようと頑張っている
「えっ?チーちゃんも…そんな夢見たの?」
声に出すつもりは無かったのだが、不意に言葉が漏れておりそれを聞いた一ノ瀬さんが顔を真っ赤にして固まってしまう
その姿を見た僕も覚悟を決めて口を開いた
「ヘン、とかじゃ無いと思うよ……ぼ、俺も夢の内容はほとんど一緒だったし、チーちゃんが襲われて…その、、、襲っていた怪人が…お、れだったんだけど…」
最後は絞り出すように一ノ瀬さんに伝えたのだが、場の雰囲気は更にぎこちないものとなり二人とも黙り込んでしまった
この状況をなんとか変えたかった僕はどうしてそう思ったのか分からないのだが
「チーちゃん、む、昔みたいに一回縛られてみる?…ほら、変かどうか確認する意味でさ」
若干の邪まな思いを隠しながら、僕は一ノ瀬さんに提案してみた
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