「あ、あぁ…。そうだね…。
さすがにお客さんが来るのに、散らかったままってわけにも、行かないだろう…?」
カラン、とグラスの中で氷が崩れる涼し気な音を響かせながら、香りのよいコーヒーが注がれたグラスを伊織の前のテーブルに置いて答える。
週に何度も、多い時は日に何度も、嗜好の動画、あるいは過去に盗撮した動画を見ながら欲を満たす男の生活。
別に綺麗好きなわけではない。
そんな生々しい臭い、状態、空気感を、知り合いの娘が訪れるのをわかっていて放置するわけがない。
ただそれだけだった。
何気なく続く会話、再会後、何度もやってきているにもかかわらず、
まるでパブロフの犬、の実験を思わせるかのように、
ただただ、伊織がやってくる、というだけで、ジャージ姿の男の股間は固く膨らみを広げる。
伊織からの会話を終わらせたいと思っているわけではない。
むしろ一言でも長く、他愛ない話を続けたいと思っている…これは事実。
しかし、警察沙汰になるほど病的な変態的欲求は、常にぎりぎりのところを右往左往している。
「私が撮らせてあげようか?」
伊織が放ったその言葉から始まったやり取り、これがなければ同じようなことを続けていた可能性さえ自覚するほど。
「伊織ちゃん…、落ち着いたらその…また、いいかい…?」
スマホを握りしめた男が、やや申し訳なさそうに口にする。
節操がない、と言われればそれまでだが、男にとっては限界ぎりぎりまで耐えた結果のお願い。
伊織の視界にもきっちり入る位置で、股間は膨れ上がり。
リハビリ、という名を関した盗撮ごっこ…が、今日も始まろうとしている。
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