彼女を初期から追っている者ほどこの唐突な終わりに違和感を覚えただろう。
そしてそれはきっかけとなる一言を呟いた男もそうだった。
「え・・・もしかして俺のメッセージ・・・見たから・・・?」
鼓動がノックのようにドンドンと胸の内を叩き始める。
「あの子が次回配信の予定も言わずに落ちるなんて今までなかったよな・・・」
邪なおもいが胸の鼓動を下腹部へと押しやってしまうような。そんな感覚・・・
「くくっ・・・こりゃ~もしかするかもなぁ・・・」
彼は口角をあげながら新規のSNSアカウントを作成した。
アカウント名は出分ではなく誰ともわからない「おやぢ」というアカウントだ。
「たしかリクエストとか受付用のDMが・・・これだな」
そして出分はゆみにDMを送信する。
『いきなり落ちちゃうなんて・・・そんな反応したら怪しまれちゃうんじゃないかなぁ・・・ねぇ、あだちさん』
DMを送信すると出分は部屋着のままに部屋を出て原付を走らせる。
20分ほど走らせた末に彼は記憶に間違いがないことを確信した。
「ははっ! この看板だ・・・チェーンのファストフードだけどここまででかいのはそうないはず・・・」
出分は周囲の建物を探るように道を一通り走ると自宅へと戻っていった。
そして彼女からの返信が届いていることに気が付くと、その小汚い顔に不気味な笑みを浮かべることとなった。
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