ゆみの配信を期待することは今まで通りのはずだった。
最初にふと見かけて気が付けば数万ユーザーを魅了したインフルエンサー。
彼女の秘密を自分だけが知ってしまったのかもしれない。
そんな言葉では形容しがたい高揚感から椅子に座りながらもふわふわと気持ちが浮ついていることだけはたしかだった。
「お・・・始まったなぁ~・・・今日もカメラアングル変えてリスナーが飽きないように・・・って・・・」
ちらりと映り込んだ背景。赤と青の電飾看板が一瞬ではあるがはっきりと見えた。
「似たような看板が隣の駅にあったような・・・職場の近くに住んでる・・・?」
普段の配信は彼女の眩い肌に視線を集中していたが、今日に限ってはあらゆる要素から彼女へ辿り着くための材料を血眼になって探していた。
その間も彼女の配信は熱狂と共に進んでいく。
曲を終えれば勢いのままに飛び交うスパチャの嵐。
露出部分を毎回変える彼女に対する要望も数多く流れていく。
次は下乳が出るくらいのほうがいいんじゃないか。
もっとお尻に食い込ませてみようよ。
そんな男の欲望を彼女は読み上げることはない。
チャットが勢いよく流れていく中でそんな露出リクエストとはまったく異なるリクエストが呟かれた。
『ロングコートタイプの白衣にベージュのインナーが似合うんじゃないかなぁ~下はネイビーブルーのスカートで』
露出を求める流れの中でこの一言に気を止める者などおらず、チャット欄の賑やかしの一部のはずだったが・・・
それはまさに今日、ゆみが出分に対応した際の服装であることを彼女だけが気が付いたのだった。
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