「井ノ上さん……本当に申し訳なかった、怪我はなかったかい。」
そう言った時に男の声が聞こえてきて、それに対して胡々希が答えている。
胡々希をしっかりと立たせ終えてから、支えていた腕を離す亮平。
声の男が胡々希を守るかのように、少し前に立ってこれから飲みに行くけど一緒にどうかと…
誰?という感情をこめて、胡々希を見るとその視線の疑問を感じ取ったかのように
「俺は渡辺照、彼女の井ノ上胡々希の男っす。」
精一杯粋がった様子で話す渡辺という男。
男という言葉を持って、俺達は肉体関係があるんだぞと言いたいのであろう。
「亮平心の声:彼女男もちか……彼氏から女奪うって考えただけで燃えるな。流石に社員に手を出すのは…でも見れば見るほどいい女だよな。あいつ(船見愛子)とはもうご無沙汰だし……」
そんなことを思いながら口から出た言葉は、
「そうですか。申し遅れましたが私〇〇県でスポーツジムを経営している佐久間亮平といいます。井ノ上さんには今度当ジムで働いてもらうことにいたしました。折角のお誘いですが、この時間からここで吞むと帰りつくころには日を跨いでしまいます、なによりお二人の邪魔をしては悪いですから、今日のところはお暇します。」
井ノ上胡々希の方を見て
「井ノ上さん、今度から宜しくお願いしますね。期待してます。今日はお二人で楽しんでください。じゃあ、渡辺さんもここで失礼します。」
そう言い二人に軽く会釈すると駅に向かい歩みを進める亮平。
後から胡々希を問い詰める渡辺照の声が聞こえてくる。
「彼女ああいう男が趣味なのか?あっちは満足してるのか?身長はヒールを履いた彼女と同じくらいだから、男の平均身長よりは小さいし、何分にもヒョロかったな。本当は従業員に手を出すのはご法度なんだが、それを破って手を出してみるか。逞しい男を知ったら彼女どうなるかな(笑)」
今亮平が自分でも気が付いていない寝取り癖に、小さい火が点いた。
黒木電話の続き
「採寸の件はどうぞよろしくお願いします。後このまえ教えていただいた新素材、切れ端でいいのでサンプルとかございましたらいただけますでしょうか。」
電話を終え黒木
「体育でスポーツ健康科学科とやら専攻してきてるんだから、レオタード着るときはVIOのムダ毛処理が必要ってことくらいは、わざわざ言わなくても知ってるわよね。ぼうぼうのまま来てくれればそれはそれで楽しいんだけど、流石にそれは期待できないわよね(笑)」
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