いつの間にか眠ってしまったのであろうか、目を開けると井ノ上胡々希が横になったまま、周りを見渡している。
「井ノ上さん、良かった気が付いた?」
胡々希の枕元にある、ナースコールのボタンを押してから、
「昨日の話では、虚血性の貧血じゃないかという話だったけど…」
胡々希にそう伝えた時にスピーカーから
「どうしました?」
との看護師の声が流れてくる。
「井ノ上さん目を覚ましました。」
「分かりました、今伺います。」
その後少しして、看護師と医師が病室に現れて、症状の説明と血液検査の結果を伝えて病室を後にする。
「良かったね、井ノ上さん。貧血以外どこも悪いところないってさ。貧血も鉄分取るように心がければ大丈夫だって。」
その後看護師が戻ってきて退院(?)の手続きを伝える。
亮平は看護師が持ってきた何枚かの用紙にサインしながら、
「井ノ上さん保険証は、今持ってる?なければ費用とりあえず全額負担になるみたいだけど…それに洋服も少し汚れちゃって…引っ越し前だけどうちの寮にはもう入れるから、一度寮の部屋で休もう。」
一連の手続きを終え、亮平が堂本課長に頼んだ迎えの車を病院の玄関先で待ちながら、
「あのさ…井ノ上さん、俺がこんな事言う義理じゃないけど……君、彼との今後のことどう考えてる?
おじさんの戯言と聞き流して欲しいんだけど、君、彼渡辺照君とは別れたほうがいいと思う。うちに就職して寮にも入るんだしこれを機に…
じゃないと今後彼が井ノ上さんの重荷になって来ると思うんだ。」
そう話した時に、堂本が運転する車が玄関前に滑り込んでくる。
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