「大西君は入寮無理か……夜になってこの建物に女性一人だと何かと物騒だよな。
俺が寮のフロアに引っ越し…それもいいかな(笑)通勤時間も格段に減るし、いい年した男がいつまでも実家暮らしじゃ、女性も寄り付かないってもんだし、会長は早く出て行けって五月蠅いんだよ……
俺が住む住まないは別問題として、マンションタイプの方、一部屋だけでも寝室の内装だけ特急で進めさせてくれる?そうすれば堂本課長とかが終電逃してもそこに泊まれるでしょ。」
「なぜ私なんですか(笑)私は愛する妻子の元へ電車があるうちに絶対に帰宅しますよ……それは置いといて、内装の件承りました。明日にでも内装屋手配しておきます。」
「うんよろしくね(亮平心の声:メール処理終わったら駅向こうの家具屋行ってベット見てくるか。)」
「じゃあ、私はこれで失礼します。鍵お願いしますね。(堂本心の声:まさか本当に住むわけじゃないよな…俺が焚きつけたわけじゃない、俺は関係無いぞ。)」
堂本が社から出て行き、メーラーを起動する亮平
「京本さんと横山さん、特別会員の事聞きつけちゃったか…黒木君も口が軽いな……こんな口が軽いようじゃ考えたほうがいいかな。」
そんなことを思いながら京本・横山へのメールをしたため始める亮平
メール
【耳にしちゃいましたか(笑)…お二人に隠してたわけではないんですが、一号店(本社ビル)の改装が終わったら、メニューを一新して個別レッスン等を導入しようかと考えています。上階には今までなかったスパ・サウナも新設予定です。
個別レッスンを受けたい方を特別会員として考えています。
お二人もいかがですか特別会員。人数はごくごく少数で考えています。
興味があれば今度飲みに行った時にでもお話しします。】
「これでよしと」
メールを送ってから、家具店に行くため駅方向に向かう亮平。
駅前で張っていた渡辺照は、向こうから歩いてくる亮平に気が付く。
「あっ!あのおやじ!!もうちょっとで胡々希ちゃんが来る時間だっていうのに……いやでも一言言ってやらんと……
おい、おっさん。」
叫びながら亮平の前に飛び出る渡辺照。
「君は……確か渡辺照くんだっけ?こんなところでどうしたの?」
「どうしたじゃねえよ。胡々希ちゃん…いや胡々希、俺の女をどこに隠しやがった……」
「僕が井ノ上さんを隠す?どうして?君井ノ上さんの彼氏だって言ってたよね。井ノ上さんうちの社員や僕とメールとかでのやり取りしてたよ。」
「お前が俺に連絡しないようにって言ってたんだろ。」
「さっきから話が見えないんだが、どうして僕が井ノ上さんを隠さなきゃいけないの?連絡とれないのは僕のせいじゃないよね。君井ノ上さんに嫌われるようなことしてない?」
「なんだと、この野郎。」
今にも殴り掛かりそうな渡辺照。
その様子を電車から降りてきた井ノ上胡々希 が驚いた眼で見ている。
それに気が付いた亮平が
「向こうにいるの、井ノ上胡々希さんじゃないのかな?」
亮平がそう言って指さすと、渡辺照が指さした方向を見る。
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