堂本との約束の時間になり社長室から、各カメラ・盗聴器の電源をオンにし、堂本の元へ向かう亮平。
「堂本君お待たせ行こうか。」
「社長、ご足労頂いて申し訳ありません。では行きましょう。」
エレベーターの前に立ち、来た箱に乗り込み、
「5階及び6階に行く場合には、箱の中の読み取り部にカードキーを読み取らせて下さい。そうすると隠れていた5階6階のボタンが画面に表示されます。誰のカードが使用されたかも逐次記憶されます。」
そう言うと実際に操作して見せる堂本。
堂本が読み取り部にカードキーをかざすと、言われた通り今まで4階までだった画面に5階6階のボタンが画面に表示される。
堂本が寮がある5階を押すと箱は上に上昇し始める。
「5階6階へ行くセキュリティは万全にしておけとの事でしたので、このような仕様にしてあります。(心の声:ここまでして、社長は一体何考えてるんだ?何しようとしてるんだ?)」
箱が5階に付き二人が降りると、扉が閉まり乗ってきた箱は自動的に事務所階(4階)まで下りていく。
「箱の中の画面にはもう、5階6階は表示されていません。」
一番奥の部屋(角部屋)の前に立つ二人
「部屋の鍵は二重、カードキーとシリンダー錠にしてあります。カードキーをその画面にタッチしてからシリンダー錠を開錠します。」
その通りに操作する堂本。すると、ドアの鍵が開錠される。
部屋に足を踏み込む二人
「ほお、なかなか綺麗だな。」
各部屋をどんどん確認していく。
熱を感知するたびに各カメラ・盗聴器が音もなく作動を始めるのだが、何の違和感も感じられない。
「問題無さそうだね堂本課長。(亮平心の声:何一つ作動音もしないし、戻ってちゃんと音声と映像が保存されてるのを確認できれば…)」
「そうですね社長、一安心です。それで誠に申し訳ないんですが、井ノ上さんの引っ越し当日、私どうしても家の都合で出社できないんですよ。娘の保育園の運動会でして。社長にお願いするのは大変心苦しいのですが、立ち合いを……」
「わかった、いいよ。お願いされるよ。(亮平心の声:どんな理由付けてこようかと思ってたんだが、こりゃ願ったりだな(笑))存瓶に家族サービスしてあげてくれ。そろそろ終業時間だ、戻ろうか。」
「はい。」
部屋から出る二人。ドアが閉まると鍵が閉まる音が微かに聞こえる。
「出るときはオートロックになっていますので…」
「部屋に置き忘れて外に出ないよう、井ノ上さんには言っておかないとね」
堂本のデスクに戻る二人
「じゃ、これ一連の鍵等ですので管理お願いします。」
「そうだ、聞こうと思ってたんだが、黒木がカードキーを、悪用しそうだって?何かそんな素振りがあるのか?」
「いえ、確たる証拠があるわけではないのですが、なんとなくそんな気がして。黒木さんに強く言われると負けて渡しちゃいそうですから、それなら社長にお願いできればと。」
「わかった、君の勘は当たることが多いからね。預かっておこう。」
佐久間スポーツジムビルフロア構成
一階:ジム受付・カフェ・簡易コンビニ
二階:ジム
三階:プール・スパ・サウナ・シャワー室
四階:事務所・更衣室
五階:寮
六階:パーティールーム・プレールーム・他
ジム:京本・横山
京本「横山さん、貴方がそんなピタパン穿いてくるからですよ、手伝い要らないって言ったのに、黒木さんこっちガン見じゃないですか」
横山「ごめん、悪かったよ。でも黒木さんが言ってた特別会員って何だと思う、京本さん。」
京本「亮平さん、やり手だから色々考えてそうだけど。皆目見当もつかないですね。」
渡辺照
駅で一時間ほど待ち伏せを続けていたが亮平が来る気配は無い。
「あのおやじ、来ねえなぁ。まさか俺が来る前に通った後とか…って言うかそもそもなんで、駅に来るって思ったんだ俺は。」
待っている間も、ありとあらゆる方法で胡々希に連絡する照だったが胡々希からの返答は無かった。
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