デッキの手すりに並んで凭れて、海と客船(〇鳥Ⅲ)を見つめている二人。
「シンガポールか、どれくらいかかるんだろうね…一度は乗ってみたいもんだけど、流石にリタイアしてからじゃないと無理かな。その時になったら付き合ってくれる?」
眩しそうに一瞬胡々希の顔を見つめた後、視線を〇鳥Ⅲに戻して、
「そうできるためにも、今はもっともっと仕事に精を出さないとね。
親父から引き継いだ佐久間ジム、俺の代で潰しちゃ両親に顔向けできないし、後継者のこともしっかりと考えないと。」
後継者という言葉のところで握っていた手に力を籠める亮平。
その時〇鳥Ⅲからブォ~と低い音の汽笛が鳴る。
展望デッキの上にはいつの間にか人が多くなっている。
「そろそろ出航なのかな…次はどこの港に泊まるんだろ?まさかこのまま、シンガポールまでずっと海の上とかなのかな?」
佐久間スポーツジム
深澤が帰ったジム内の、菊池・京本・横山並んでエアロバイクを漕ぎながら
「さっきの体験の深澤って奴、井ノ上さんに興味津々だったね。」と菊池。
京本「マシンやってる時に、大西君の目を盗んでしつこく聞いてきてた」
横山「知らないって言ってるのに、しつこかった。」
菊池「亮ちゃんの耳に入れといたほうがいいよね。」
横山「そうだね。でも大西君から目黒さんには連絡行ってるんじゃないかな。そこの電話で何度か話してたし。目黒さん経由で亮平さんに連絡行くんじゃないのかな。」
その時目黒がジムに顔を出す
「全くあの三人と来たら…早いとこ口止めしとかないと。(苦笑)」
三人組が話しているところに近づく目黒
「皆さん、その件ですけど、皆さん限りにしてくださいね。」
急に声をかけられて吃驚して振り向く三人
菊池「吃驚したぁ…脅かさないでよ目黒ちゃん。」
目黒に苦言を言う菊池
横山「そうですよ、目黒さん。ところで俺ら限りって、あの深澤って奴が井ノ上さんを探ってるってことの事」
目黒「そうですその件。その件は社長に連絡の上、私と社長で対応しますから。ジム内に変な噂立てたくないんで、お願いしますよ。」
口々に了解の返事をする三人
「で逆に、何を探ってたか、深澤さんが入会して来たらちょっと探っておいて貰えますか?」
菊池「スパイって奴か…こりゃ楽しそうだ。」
深澤
自分のアパートに返って来た深澤
「この目で見たわけじゃないけど、職員や一部会員の間では、
二人が付き合ってるのは周知の事実と。
でもそのまま照に言ったら、あいつ金払わなくなるもんな。
どうやって言うか??」
帰り際に貰って来た料金表を前に考えこむ深澤
「入会金〇万円、月会費○千円、特別会員は〇万円か…
設備は良さそうで、職員も美人で明るくて(受付嬢の一人のこと)、
あの娘(こ)に会いたいっていう邪な気持ちもないではないが、
俺も身体動かしたい願望が出て来ちまった…
入会金は照の出させるとしても、月会費高いよな…
働かなきゃな…」
電車に乗るときに貰って来た、無料の求人冊子を開く深澤
※元投稿はこちら >>