大西が退出し一人になった社長室
「セクハラか…困った問題だな。会員様に強く言うと、会員数の減少招きかねないし、かといって放置もできないし…」
考えが纏まらないまま時間だけが経過する。
社長室のドアがノックされて堂本が顔を見せる
堂本「社長、最後の会員様も帰宅なさり、ジム及びプール・スパ・サウナ等の電気や空調はオフしました。職員も私以外全員帰宅しています。私も今日はこれで失礼します。ジム側の鍵はロックしますので、出入りの際は寮側からお願いします。ではお疲れさまでした。」
そう言って社長室を出て行く堂本。亮平はその背中に
「お疲れ様。明日もよろしくね。」
そう言うと心の中で
「これで目黒が来るまでこのビルの中には、俺と井ノ上さん二人ってことか…」
(実際には、胡々希は買い物に出ており一人なのだが、亮平はそれを知らない)
「マンション帰ってパエリアの仕上げそろそろ始めないとか…」
ランコントル応接室
目黒「今米倉さんはデメリットは予約困難になることと仰いましたが、佐久間ジム経由でエステ会員になられたお客様には、基本的に佐久間ジムのビルで施術していただくという方法ではいかがでしょうか?
幸いなことに寮の何部屋かはまだ空いていますし…寮の部屋を使うことに社長の了解を取る必要はありますが。
さっき仰ってた新店舗の代わりとでも言えばいいでしょうか。
でもそれだとそちらの従業員の負担が増えてしまいますかね……」
米倉「脱毛とか特殊な道具を使う施術は難しそうですが、一考の価値はありそうなご提案ですね。ちょっと持ち帰って考えてみますわ。」
目黒「では私も、寮の一部屋をエステの施術に使うことが可能かどうか、社長に聞いておきます。」
米倉「そうですね、宜しくお願いします。
次回の打ち合わせは、私が御社の方に出向く形ですね。
では今日はありがと
うございました。
お帰りお気をつけて。」
目黒「こちらこそありがとうございました。
(心の声:取り付く島もないな。お茶誘える雰囲気じゃないし。分かっていたこととはいえなんだかな…)
では失礼いたします。」
若干肩を落とし気味にランコントル応接室を後にする目黒
その様子を見て米倉
米倉「心の声:目黒さん何か元気ないわね、私何か失礼なこと言ったかしら?」
ランコントルから佐久間ジムへ帰る途上
米倉との打ち合わせ結果の報告のため、亮平の携帯へ電話をかける目黒
目黒「社長ですか目黒です。今打ち合わせ終わりまして、これから帰ります。夕食の時間には少し遅れるかもですが…」
続いて打ち合わせ内容を報告して、指示を伺う目黒
「そうか…寮の空き室を使ってうちの会員向けのエステをね…ちょっと前向きに考えてみるよ。それよりパエリアお焦げもいい具合に上手くできたぞ。米倉さんの事誘えなかったなら早く帰って来い(笑)そろそろ井…」
その時スマホを通じてインターホンの音が聞こえる
「あっ、井ノ上さん来たみたいだから一度切るぞ」
目黒「お邪魔なようでしたら……」
目黒が言い終える前に通話は切れていた。
目黒「気を利かせようかと思ったのに…まあいいか。」
マンション亮平の部屋
玄関ドアを開けて外に声をかける
「やあ、いらっしゃい。お待ちしてました。目黒ですが業務で外出していて、今こちらに向かっているそうで、ちょっと遅れるみたいです。」
そう胡々希に声をかけてから
「どうぞ上がってください。料理はもうできてますので。」
胡々希を見て眩しそうな顔をしながら、リビングに案内する亮平。
「お腹減ってるかもですが、目黒の奴の事ちょっと待ってあげましょう……
それにしても私服の井ノ……いや胡々希さん見違えますね。いつも、Tシャツにトレパン姿ばかり見てるから……
青いスカート凄く似合ってます。白いブラウスも清潔感があって…
(心の声:この下は上下お揃いの、白地に薄ピンクの花柄刺繍を施した下着か。早くカメラなんかじゃなくて、直にこの目で見たいもんだ。勿論その下の素肌も)
待ってる間お茶入れますけど、胡々希さんは何がいいですか?」
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