「(心の声:やっぱり可愛いなぁ。こうやって見上げてる女の子って特に。
わざとやってる?いや、絶対にそんなことはないよな、井ノ上さんがそんな計算するはずがない。
トレーナーの上からでも分かる胸の大きさって…井ノ上さんって猫好きなのかなぁ)」
隣で笑顔で見上げる胡々希を見ながら、そんなとりとめのないことを考えている。
「じゃあ行きましょう。」
コンビニに入ると、レジにいたアルバイト同士の、小声で話す声が耳に届く。
「(心の声:やはりそうだよな、目を引くよな……
しかし渡辺君も勿体ないことしたもんだ。自慢したくなるのは分かるが、口止めもせず言いふらすとは。
まぁそのおかげで手に入れられるかもしれないんだから、感謝しなきゃいけないところか(笑))」
「いっぱい入れて重いから、私が持つよ。井ノ上さんのも一緒に入れて。梅酒飲みやすからって過ぎないようにね。ウイスキー今日は飲むつもりないから、氷は要らないかな」
レジ台に買い物かごを置くと、胡々希が財布を出している間に、
「会計は〇〇ペイで。」
とアルバイトに告げ、続けて小声で
「いくら魅力的だからって、女性の事無遠慮にジロジロ見ない方がいいよ。」
と付け加える。
胡々希を見ると、何故か少し脹れたような表情。
「社長が従業員に金出させるなんて、恰好付かないでしょ。少しは恰好つけさせてよ。(笑)」
5階に戻ると、直接胡々希の部屋に。
「失礼しますよ。」
そう言って、胡々希に促されるままダイニングテーブルへ。
かいがいしく料理を並べ、お酌をしてくれる胡々希。
「ありがとう、これは美味しそうだ。おばあさまの影響って言ってたけど、もともと料理は得意なんだろうね……あ、最初くらい私が注ぐよ。」
自分で注ごうとしていたウメ○○○の缶を受け取り、胡々希のグラスに注ぎ、
「今日は色々とお疲れさまでした。何の縁か分からないけど、こうして井ノ上さんと食事をする機会に恵まれて、凄く嬉しいです(笑)じゃあ乾杯。」
グラスを軽く合わせてから、ビールをグラスの半分ほど喉に一気に流し込み
「くぅ~美味い……」
そう声にならない声を発すると、早速大葉としらすのトマトサラダに箸を伸ばす。
「うん、美味しい…こうやって井ノ上さんの手料理味わえて、俺ってなんて幸せ者なんだろう…」
色々な話をしながらも、佃煮や冷や奴、サバ味噌等へ次々に箸を伸ばしていく。
話しが途切れた時、
「井ノ上さん…いやプライベートの時は胡々希さんって呼んでいいかな……もちろん会社では井ノ上さんだけど。」
それに対する胡々希の答えを待っているように、口を噤む亮平。
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