(案の定だな…。
君ならそう言うんじゃないかなと思ったよ…。
ここなら万が一、道の方から人が上がってきても、こちらが先に気づける。
最悪の場合が避けられるってもんさ。)
下着姿の少女を連れて木陰。
もちろん、着替えはベンチに放置したまま。
いつでも眺めることが出来る半裸の少女。
近くに流れる川からそよぐ風は火照った身体を優しく冷ましてくれる。
そんな場所に連れ出し、狙い通りの言葉に男は優しい笑みを浮かべて。
「慣れるというのはとても大事なことでね。
見られることに慣れること、触れられることに慣れること、プレッシャーに慣れること。
強い力を生むためにも、擽ったいと感じる感覚を、快感に、リラックスに変える慣れることで、いざと言う時に余計な感覚に邪魔されない状態を作るんだ。
全ての男の子たちに敵うかどうかは分からない。
けど、普段すごく上手いのに、試合になった途端エラーが多くなる子や、三振が増える子っているだろ?
そういう子達とは少なくとも対等以上に戦えるはずさ。
擽ったさ、恥ずかしさに慣れて、それを気持ちいいと思えるようになれば、怖いものは何も無いって…ね。」
真実を混ぜた虚実は、時に虚実に真実味を持たせる。
今回の男の言葉は9割型が都合のいい嘘。
しかし身体の軽さ、あるいは大人の余裕、そして何より今まで築いてきた実績が、真っ赤な嘘も潔白に塗り替えてしまう。
「体幹の強化、体躯の強化。その擽ったさが、むしろ欲しくなる感覚に変わった時、栞ちゃん、君の野球は、バッターボックスに立った時の感覚は一歩先に進むだろうね。」
(なんて…嘘…。
でもこの子の実力は本物だ、適度にちゃんと練習をさせて、メンタル強化を合わせれば勝手に結果は出る。
それに、有名選手のアドバイスで結果が出なかったらどう思う?
それはアドバイスに問題があるんじゃなくて、結局自分にそのアドバイスをものにする力がなかっただけ、って…自分を責めるだけ、俺にはリスクないんだから。)
「ただし、簡単じゃない。
だって本来力では敵わないように出来てるんだ。
だからメンタル面で上回るしかない。
我慢する瞬間も出てくるかもしれない…、それでもやりたいのかい?」
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