くすぐったいと言った栞の言葉を聞いて、松井選手は困ったと呟いた。
くすぐったさは、いざと言う時に力に変えられない…そんな話はハッキリ言ってデタラメだったが、そのデタラメな話も松井選手の口をついた言葉となると、栞にはデタラメではなくなる。
「どうしたらいいんですか?」
不安を煽られ、松井選手の狙い通りにおしえを乞う栞…追い打ちをかけるように男と女では…と…
「私…負けたくないんですっ!男の子なんかに…もっと身体の中心線を意識して鍛えれば勝てるんですか?」
ムキになる栞を一旦なだめるように松井選手は大きな息を吐いた。
ベンチは日差しが照りつけ暑いからと栞を大きな木の影となっている場所へと連れて行く。
松井選手の前で下着姿になる事に抵抗はなかったが、ベンチはグラウンドへ来る道からも見えるところにある。
いつ誰かが来るかもしれないという不安があっただけに木陰への移動は有り難かった。
おそらく栞の事を考えてくれたのだろうと考えたが、人に見られて困るのは松井選手の方で、自らの保身のためのものだったが、栞はいい方へと解釈した。
移動した木陰は、さっきのベンチとは比べものにならないほど涼しい…裏にあるという川からの風が気持ちよく抜ける…
「あ、あの…さっきの話の続きなんですけど…くすぐったいが気持ちいいって感じられるようになれば男の子たちに勝てますか?」
刺激を受け入れ、快感を感じるくらいに…その言葉の持つ意味を栞は分かっていなかった…
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