(大事なのは、おしりと太もも…マッサージでたなことは…毎日続けること…直接筋肉に触れること…あとなんだっけ…あっ…そうか信頼できる人から…松井選手だ…でももうだめだ…えっ?な、なんで?なんでだめなの?あ〜私…やっちゃったんた…お漏らし…)
『……ちゃん…栞ちゃん…』
(誰?ママ?今日は友達の家に行くって言ったじゃない…うるさいなぉ…)
何度名前を呼ばれたのだろう…栞の耳にハッキリと聞こえたのは目の前で両肩に手をかける松井選手だった。
「えっ…?れ、連絡先?都合が悪くなったらって…もうここへはこれないのに……えっ…?わ、私に…松井選手が…アドバイス?」
混乱する頭の中に響くのへ紛れもなく松井選手の声…直接、お漏らしをしたことに対して云々言うわけでもなく、それでいて元気を出せと言わんばかりに優しく温かい響き…
顔を上げると栞を真っ直ぐに見つめる松井選手と目が合う…真剣な眼差しに思わず目を逸らしてしまう。
(同情してくれてるんだ…連絡先を交換すれば私か元気になるかもって…)
連絡先を交換しても松井選手から連絡が入ることはないだろう…私からも連絡なんて…)
一刻ても早くこの場から立ち去りたかった…親に嘘をついてまで指導を仰ぎに来たはずの場所から…
「……これ…私の……LINEの……ID…です…」
べの近く置いてあったバックからスマホを取り出し画面を松井選手に向けた。
(……帰ろう…)
着替えを促され栞は小さく頷くと、せなかに貼りつくユニホームとアンダーシャツを脱ぎ捨てた。
濡れた衣服がこれほど脱ぎにくいものかと思った。
松井選手の前だからといって初めにゆに着替えた時のような恥ずかしさはなかった。
何もかもがとうでもよくなっていた…
目の前に松井選手がいるのに下着だけになり、来た時に着てきたTシャツを被り、その後でオシッコで重くなったパンツに手をかけた…
「……今日は…ありがとう…ございました…」
頭を一度下げた栞は、飛び跳ねるように来た道をトボトボと下を向いて歩き出した…
※元投稿はこちら >>