栞の質問に対して、松井選手は少しの沈黙のあと「Yes」と答えた。
どう答えれば今後自分にとって都合がいいのかを考えていてのだが、栞にはその暫くの沈黙は質問に対して真剣に考えてくれたものだと思い込んだ。
松井選手の真実の中に嘘を混ぜ込むやり方は、功を奏し栞の信頼に繋がり、全ていい方へと勝手に解釈する。
「そうなんだ…ストレッチは筋を伸ばす…徹底したマッサージなら柔軟な身体にもできるのかぁ…」
栞は考えた…松井選手が大切な3つの事を…
日課となるくらい毎日続ける…直接肌にふれ筋肉の様子を見ながら…そして身を委ねる相手は知識があり信頼のおける人…
(週末以外は、学校帰りにくればいいし…筋肉の様子を見るって今みたいなことだよね…それに知識があって信頼できる相手…それって松井選手じゃん…)
松井選手の言う3つの大事な事は、松井選手さえ栞の頼みを聞いてくれれば簡単に叶うこと…
「あ、あの…図々しいお願いかもしれませんけど…そのマッサージ…お願いしてもいいでしょうか?毎日、ここには来ますので…私…もっと身体に柔軟性を持たせて長打の打てる好打者になりたいんです…お願いします!」
上体を起こし振り返り真剣な眼差して松井選手を見つめる栞…思惑通りの展開にニヤけそうな顔を堪え即答を避け何かを考えるふりをする松井選手…
断るはずのないことを栞は知らずにすがるような目を向け…
「ほ、本当ですかっ!?あ、ありがとうございますっ!やったぁー!」
松井選手からの承諾を聞き飛び上がらんばかり喜ぶ栞…そよマッサージがどんなものかも知らずに…
※元投稿はこちら >>