「えっ…?ま、毎日?毎日でも指導してくれるんですか?」
予期せぬ松井選手からの言葉に耳を疑い聞き返した。週末だけでも感謝しきれないのに、栞にその気があれば…と嬉しすぎる提案だった。
(で、ても…毎日ってなると…)
平日は部活がある…母親には部活だからということにすれば帰宅が遅くなっても問題はない。だが部活のほうは…
野球部には小学校時代から一緒プレイをした男の子たちもいて樂しい。
だが、その練習は物足りないモノがある。
あまりやる気のない顧問と楽しければいいという向上心の欠けた一部の部員…もっと上手く成りたいという栞にとって学校の野球部と松井選手からの指導では、どちらが自分のためにならのかは考えるまでもない。
どういう理由て部活を休みめばいいのか…すぐにはその答えは見つからなかったが、迷うことはない…どうしても松井選手からの指導を受けたい…
「き、きますさっ!ま、毎日…少しくらい遅くなっても部活だからって言えば…」
これまで母親に嘘をついたことはない…部活もよぼど体調が悪くなければ休んだこともない…
少し後ろめたさを感じながらも松井選手からの指導を選んだ。
栞の返事にニコリと微笑んだ松井…栞からはそう見えたものの実はニンマリとした笑いだった。
松井選手からの指導が始まると、一言一言を聞き漏らさないようにと真剣な目を向け、何度も頷く…バッティングの話になると、その真剣味は更に増す…中学生になって飛距離か伸びないとごろか、ボールの球威にさえ押されるようになり、それが1番の悩み…
「打球を遠くに飛ばしたいですっ!ピッチャーのボールに押されないようになりたいっ!そのためだったら…どんな練習も頑張りますからっ!」
どんな練習にも…その一言に松井選手の口元に笑みが浮かんだこと栞は全く気づかず…
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