「ふふっ…。」
緊張と羞恥を誤魔化すように勢いのまま、大丈夫、と告げた…告げてしまった栞の言葉を耳にした瞬間、男の口元が緩む。
時間にしてコンマ数秒の間、しかしその間に栞の中ではいろいろな葛藤があっただろう。
どういう解釈をしたのかはわからない、が、自分なりに納得をつけて思い切ったのだろう。
健気な少女の勇気。
陰湿な男の計画、目論見など露とも知らず、大自然の真ん中ともいえる場所で半裸を晒してくれる少女。
躾の第一歩、成果は上々というところだろうか。
普段は衣服やユニフォームで隠れている部分と露出している肌の色のコントラスト。
焼けている部分は見られている部分なのだから、焼けていない部分を見るのは特別な存在と言えるだろう。
特別…家族、あるいは同性の友人、聞くに及ばなかったが恋人あたりだろうか。
そのどこにも属さない男が、出会って二日目の少女の、本来見せない部分を目にする優越。
何とも言えない興奮が押し寄せるのを感じる。
「ありがとう。
気にせず…着替えてもらえるなら、大丈夫そうだね…?
俺もせっかく、佐倉さん…いや、栞ちゃん…の方がいいかな?
栞ちゃんとこうして知り合えたんだ…、出来る限り練習を一緒にしたいって思っているからね…。」
時折滲ませる、栞を特別な存在だと感じさせる言葉。
よりこの機会が貴重であると認識させ、この機会の損失はあってはならないことだと刷り込むような。
「それに野球に限らず、スポーツは見られてなんぼってやつだ。
君が俺に憧れてくれたようにね…?
そして、否が応でも女性選手には男性ファンがつきもの。
より男の視線を感じる機会が増えてくる…、そんな中でもベストパフォーマンスが発揮できることが一流には求められるんだ。
そう言う意味では、ここで着替えができた栞ちゃんは、一流の素質が…あるかもね?
見られることが好き、と言えるくらいの大物になってくれると嬉しいね。」
布石…。
ただただ屋外で着替えさせただけの時間。
それをまるでこれから先に活きてくるような後づけで、もっともらしく見せてくる男。
「だって…ばたばた着替えちゃってるって…ちょっとカッコ悪いじゃん?
着替えだって堂々と、守備も、バッティングもそう…、堂々としてたいよね…。
さ、ストレッチから始めて行こうか…手伝うよ。」
そう言いながら、栞に歩み寄ると直立した状態での前屈を促すようにそっと上半身を前に倒させる。
自然に添えられる手は腰に、ベルトのあたりからやや臀部にかけて。
もちろん露骨に撫でる様には動かない。
自然に、自然に触れていく。
「足に、自信があるって言ってたね?
後で足の使い方も見てみようね。
走れるってことはバッティングにも守備にも生きてくる。
とても大事な要素だからさ。」
栞の躾…、少しずつ卑猥に映ろう。
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