「そんなに慌てなくても大丈夫だよ。
お昼を目途にとは言ったけど、特別時間を指定したわけでもないしね。
どちらにしても、近くの民宿を長期で借りているし、陽の高いうちは基本的にこのグラウンド周辺にいるからさ。」
よほど急いできたのか、かなり息が上がっているのを見ると指導への期待は高いと見える。
憧れと期待、健気な少女の向上心に本来は野球を天職として掲げた身としては、心から嬉しく思わないといけないはず。
昔ほどではないとはいえ、今でも野球は男のスポーツに見られがち。
そんな中でも、努力を惜しまず、さらに次の自分を目指して励む少女の存在はこれからの野球界をより明るく照らしてくれるのだから。
にもかかわらず…。
「それだけ楽しみにしてくれてたってことかな…?」
額に汗を滲ませ、その汗のしみ込んだTシャツが身体に張り付いたように見えると、幼い少女の発育途中が浮き彫りに見えるような気がした。
生唾を飲み込む…、そんな仕草を悟られるわけにもいかない。
上手く誤魔化しながらそんな声を掛け、
「改めてよろしくね…、松井翔平だ…って、知ってるかな?」
息が整うのを待ってから改まった自己紹介。
さすがに自分が有名な人間なのは自覚している、少しいたずらな笑みを浮かべながら名乗り、すっと片手を差し出す、握手を求めるように。
「名前…まだ聞いていなかったね。
あの時は随分慌てていたから、話しだけ聞いて、帰しちゃったし。
聞いても良いかな…?」
個人情報の一歩。
根掘り葉掘り探りを入れながら、全てを晒させるつもり。
情報、性癖、体型、そして未来。
心中にどす黒く邪な性欲を隠していることなど、今の少女に知る由もないだろう。
「あと、せっかくだしそのまま…自己紹介を少ししてもらおうか。
そうだな…、ポジションと…、よく打ってた打順。
憧れの選手や目標なんかもあるといいね…。
後、彼氏がいるかどうか…、は、言わなくていいからね?」
出来る限りリラックスした環境を整えたい、少しでも緊張をほぐすように少し冗談を交えながら男はそんな風に声を掛ける。
短パンから伸びる柔肌…、Tシャツを僅かに持ち上げる膨らみ。
幼い中に見え始めている、少女が女へと成長する過程が。
「その後、着替えてから、ストレッチとかしていこうか…。」
そして最初のハードル。
あえてユニフォームで来させず、持参させ、私服で来させた狙い。
当然だが更衣室などない、そんな環境での着替えを強いること。
ここにどんな反応を見せるのか…、少女を取り巻く環境が歪み始める。
【こんばんは。
ペースは気にしないでください。
タイミングにもよりますが、私もせいぜい1日1,2回だと思います。
日中は基本的に仕事なのでお返事もできませんし。
ですので気長にお付き合いいただければと思います。
希望等があれば都度仰ってくださいね。】
※元投稿はこちら >>