『ええっ…!?うそっ…!なんで…!?』
自分でも信じられないほど大胆な行動に心の中の呟きも動揺を表している。
『ダメっ…おとうさんが…お風呂に入ってるのに…扉のすぐ向こうにおとうさんが…。』
パジャマを脱ぎ、パンティだけの姿で身体を拭く私。磨りガラスの向こう側には身体を洗っているであろう義父の姿が透けて見える。
『ええっ…!?おとうさん…おちんちんが…。』
磨りガラスからは義父の姿が横から映し出し、その股間には上を向く塊が確認できる。
握りしめながら時折その手が上下に動かされている様まで見えてしまう。
『やっぱり…私の姿も…おとうさんに見えてるのかも…あぁ…おとうさんに…私の裸が…。』
肩にバスタオルを掛けたまま、私の手は無意識に身体を撫で回し始めている。
『あっ…ダメっ…そんな事…私…何を…!』
身体を撫でるように這い回る自分自身の手。敏感な部分を触りたくて仕方ないものの、理性がそれを辛うじて阻止するように欲望と理性がせめぎ合う…。
『ダメっ…やっぱりダメっ…私は…そんな…。』
下着の上を這い回り始めた指先の感覚に、急に理性が勝ったかのように磨りガラスから離れるとパジャマを身に着け脱衣所から立ち去った…。
『ホントにどうしちゃったの…!?私…何をしようとしてるの…?』
台所で息継ぎもせずにコップに満たされた水を飲み干すと夫婦の寝室へと向かう…。
「ねぇ…あなた…。」
部屋に入り夫に掛けた言葉は虚しく空間を彷徨う…。
娘を寝かしつけながら夫も深い眠りに落ちていた…。
来週には夫は一人遠い地へと旅立つ事になっている。
この週末が夫と契りを交わす最後のチャンスだと言うのに…。
「寝ちゃった…?ねぇあなた…俊介さん…。」
控えめな声色は娘を起こさない為…。
ここで娘が目覚めてしまえば夫婦の営みどころではない。
今まで夫を私から誘うことなどなかった。
今日、眠っているであろう夫を起こそうと声を掛けた事だけでも私にとっては初めての試みだったのかもしれない。
昼間から…先ほどの脱衣所までの記憶が脳裏に鮮明に浮かぶ。
義父に惑わされながらも、やはり心の何処かでは夫を求めていたに違いない。
今夜は…今夜こそは…。
そんな想いが芽生えるほどに義父に乱されてしまった心の中。
まるで穏やかな暮らしの中に突然の嵐に見舞われたように私の心は乱されてしまっていた…。
『寝ちゃったんだ…。今夜こそはって…思ってたのに…。
疲れてるのかな…?
そんな俊介さんを起こしてまで…誘うなんて無理…。』
私の中に性欲などという感覚は無いものだと思っていた。夫に求められれば拒むことはないものの、私から求めることなどあってはならない…そんな風に考えていたのかもしれない…。
しかしながら…今日の私はいつもの私とは違う人物みたいに欲望に囚われてしまっている。
夫に抱かれたい…。優しい夫の腕の中で幸せを感じたい…。そんな細やかな願いは夫の寝息と共に闇の中に沈んでいく…。
『はぁ…あなた…。こんな事初めてなの…。
私…今日はなんだかおかしいの…。
身体がムズムズして…どうしちゃったの…?私…今日はホントにどうしちゃったの…?』
夫の寝顔を見つめながら、決して言葉にすることはできない想いを心の中で呟く。
娘の傍らで静かに寝息を立てる夫。
本来ならその光景は幸せを感じられる場面であるというのに…。
静かにため息をつくと窓辺へと向かう。
夫が仕事用に使っているデスク。その椅子に腰掛けると、静かに眠る夫に背を向けるように窓辺へと身体を向ける。
辺りは暗い闇の中に沈み、デスクに灯された柔らかな明かりが私の横顔を照らし出している様が窓ガラスに映る。
その視線の先には今日、私の心を乱し続けた義父と義母の部屋が見える。
『おとうさん…あんなに元気だなんて…。
まさか今でも…おかあさんと…。』
義理の父母の夜の営みなど気にしたことなどなかった。とうにそんな行為は無くなっているものだと思っていた。
しかし…今日の義父を見たあとでは…もしかしたら…そんな思いが芽生えてしまった…。
目の前には暗く落ちた外の世界によって漆黒の鏡のように私の姿を映している窓ガラス。
私の背後には気持ちよさそうに眠る娘と夫の姿が見える。
もしも夫が目を覚ましたとしても、背中を向けている私の行動は読み取れないだろう…。夫が気づくよりも先に私が気づくことができる。
そんな安心感…いや…悪巧みまで頭に浮かんでしまうほどに心の中は乱れているとでも言うのだろうか…。
無意識に…いや…違う…。
好奇心のような感情が私の身体を勝手に動かし始める。
パジャマのボタンを上から2つ外し、片方に引っ張りながら広げていくと、窓ガラスに片方の乳房を映し込む…。
そっと手を這わせると身体がビクンと跳ね上がる…。
不鮮明ながらも目の前の窓ガラスに映る姿は、まるで磨りガラスの向こう側から義父が見つめていたであろう姿に思えてくる。
途端にドキドキと高鳴る鼓動…。
誰にも見つからないはずの秘密の遊戯が始まってしまった…。
※元投稿はこちら >>