「っと…。
瀬野さん…凛花ちゃん、の方がいいかな?宜しくね。」
すっと差し出す手に当たりそうになるほどの勢いでくの字に曲がる身体。
勢いもあったとはいえ、身体の柔軟性も確認することができる。
持って生まれたモノか、はたまた日々のケアを怠らない勤勉さの賜物か。
夏の日差しが照り付けるグラウンドの片隅。
改めて交わす二人の挨拶、さらに知れるのは胸元にちらりと覗く下着の存在。
スポーツに青春を費やす少女にありがちな少し無防備な胸元が、早々に男の欲情を駆り立ててくる。
とはいえ、早々に強引に手を出してはせっかくの機会が台無し。
凛花の希望でもあるれっきとした指導も織り交ぜながら、こちらの求める指導、へとシフトしていくが理想。
「活躍できる選手に…か、良いね。
最初に声を掛けられた時は俺も驚いたけど…、純粋というか、上手くなりたいという気持ちが溢れてて、思わずオッケーしちゃったくらいだからね。
期待に応えられる指導ができるかわからないけど…、俺にできることはさせてもらうよ。
約束は守る。
一番大事なことだからね。」
幼さも残る少女への、姑息、卑劣ともいえるほどに仕掛けられていく布石。
前提として持ち出された約束の存在。
そして、それを守ることを最も重要なことだと告げる憧れの存在。
それが少女の身体に刻まれる、逃れられない最初の枷…となっていくかのように。
「打順を上げること重要だとは思っていないよ…。
俺自身も8番を打っていた時期は結構あってね…、そう言う意味ではお揃い、かな?
だから打順にこだわらず、正しいフォームを定着させること、大事な場面でも程よい緊張感を楽しめるメンタル、このあたりを意識して取り組んでいけるといいね。」
曲がりなりにも日本を背負って立つ選手。
その言葉には家族やコーチ以上の説得力を持っている。
言葉一つ一つが、後々の少女に大きな影響を与えるとは夢にも思わないだろう。
そして、凛花への最初の躾…は、ゆっくりと始まりを迎える。
「それじゃ、さっそく始めていこうと思うけど…。
ユニフォームに着替えないといけないね。うーん…と…。」
ユニフォームは着てこず、持参するように告げたことには理由があった。
もちろん、凛花に伝えた通り、私服より目立つことでこの場所を勘ぐる第三者の存在を警戒した、それは間違いない。
しかし真の狙いは、「現地で着替えさせる」こと、だった。
知ってか知らずか、場所は僻地に設置されているグラウンド。
更衣室はおろか、お手洗いも男性用のみ、それも申し訳程度に小便器が置かれている手前を引き戸が隠している程度の簡素な物。
「困ったな…。
俺の車で着替えてもらっても良いんだけど…、停めている場所まで往復で30分くらいかかるし…。」
近くに車が停められないわけではなかった。
あえてこの状況を作り出すために、わざと少し離れた場所に停めていたのだ。
憧れの選手の大事な自主練の時間を、部外者の自分の着替えの為に奪う。
常識的に考えれば、申し訳なさが先立つもの。
そんな感情すら利用する男の卑劣さ…計画性。
「ちょっと遠いけど、我慢してくれるかい?
15分ほど歩けば、俺の車があるから…そこで着替えてもらおう。」
ちら…ちらと、男は視線を行く方向にか向ける。
男の視界から一時的に消えることができるバックフェンスの裏側。
しかし、そこは手入れのされていない草木が茂っており、羽虫の類も相まって着替えなど普通は避けたいと考えるような場所。
辛うじて隔たりが存在するのは男子トイレ。
といっても、整備されたグラウンドと違い衛生面がかなり気になる。
グラウンド脇に据えられたベンチが数か所。
その内の一つには男の荷物、そしてジャージなどがかけられており、男はそこで着替えたような印象が感じられる。
が、当然、全て丸見えの場所、男に背を向けるように願い出ることができればあるいは…。
最後に目を向けたのは木陰。
周囲は茂みに覆われている中、一本だけそびえる太めの幹を擁した木が生えている場所。
幸い、その辺りは茂みも薄く手入れも届いていた。
しかし、身体が完全に隠れるわけではなく、視線を半身程度は見えてしまう。
何より、木の向こうがはやってきた道が続いている。
つまり、誰かがやってくれば丸見えになるリスクがある場所だった。
いずれを選択しても、何らかのリスクが伴う場所での更衣。
そこをあえてこちらから提案もせず、それどころか熟考させる間も与えず、自身の車が停めてあるという場所まで歩き始める。
「どうしたんだい…?
せっかくの練習の時間がもったいないぞ…?さぁ…行こう。」
止めを刺すように遠回しに告げられる、時間という、凛花にとっても最も重要な言葉。
そしてここでの選択は、今後の練習前の更衣場所を決定することに他ならない。
着替えるためだけにあこがれの選手の30分を無駄にするのか。
羞恥、リスク、憧れと異なる要素を同じ天秤にかけさせて迫る鬼畜の所業。
そんな状況を強いているという事実だけでも男は高揚し、股間を持ち上げそうになっていた。
【素敵な描写、書き出し、ありがとうございます。
展開次第で、互いに思うところが出てくるのは間違いなくあると思います。
その際はお伝えさせていただきますが、凛花さんも気兼ねなくおっしゃってくださいね…?
と言っても、まずはシンプルに凛花さんの描写のありのままを楽しませていただこうと思っています。
仰るような流れは私も考えていました。
イメージがあっていそうで、とても嬉しいです。
描写の一部でも記載しましたが、冒頭から露骨にアプローチしていくのは今のところ考えてはいないので、本筋と言いますか、指導の部分も適宜描いていきたいなと思っています。
どこかのタイミングから加速度的に進展していく可能性はありますが…。
もし進展を早めたいなどあればおっしゃってくださいませ。
途中で飽きられるのが最も避けたい流れですので。
素敵な描写を描いてくださる方にはなかなか出会えません。
末永くお付き合いいただけると嬉しいです。】
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