ジャージ姿のまま、野球帽を被り、スマホを片手に一日中街を駆け回っていた。
あの、憧れの松井選手がこの街に来ているっ!
しかも自主練目的だって、しばらくずっといるんだ!!
そう考えると、とても居ても立っても居られず、会ってどうするかも決めないまま、彼を探し続けた。
松井選手はとても有名人で、こんな田舎な街にも、目撃報告の投稿がちらほら見える。
点と点である投稿を繋いでいくと、徐々に彼に近づいているような、そんな気がしていた。
そして、それは現実となる。
松井選手の目の前に立った時、口から出たのは「サインのおねだり」や「写真撮影のお願い」などではなかった。
「わたっ、私に野球を教えてくださいっ!自主練の邪魔はしませんっ、勝手に横で一緒に練習しますっ、だからっ、だっ、だからっ!」
よくよく考えると、我ながら不躾で、それでいて大変失礼なことだった。
叱られて当然の行動だったけど、松井選手はしっかりと目を見て、きちんと取り合ってくれた。
(やっぱり松井選手はすっごく器がおっきかったなあ…。条件も松井選手からしたら当然の内容だし…、それにこんなチャンス2度とない…。よくよく考えたって答えは同じ…)
憧れの人と話をした興奮が冷めやらないまま、ベッドの上で悶々と考える。
そのうえで、明日再度松井選手に会いにいくことを決めた。
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「はい…っ、やっぱり大好きな松井選手と練習がしたくて…。その、お邪魔ですよね…。でも、どうしても野球が上手くなりたくて…。」
少女とはいえ、もう中学生。
松井選手の条件から色々と察することはできる。
スポーツバッグの中にユニフォームやタオル、グローブ、スパイクなどを詰め込み、私服のまま家を飛び出した。
当然、親には「図書館で勉強する」と嘘をついて…。
髪を下ろした肩ほどまでの長い黒髪が風に靡き、日焼けした活発な少女の顔がよく見える。
「あっ、そうだ…、昨日はとっても興奮していて、名前も言ってなかった…。ごめんなさい、私は瀬野凛花って言いますっ!15歳で中学二年生ですっ。学校にはソフトボール部しかなくて、地域の女子野球チームに所属してますっ。守備位置はセカンドで、打順は8番が多くて…。その、もっともっと活躍できるようになりたいんですっ!絶対邪魔しないのでっ、よろしくお願いしますっ!」
緊張で口の中が乾く。
舌が上手く動かなくて、聞き取りづらくないかな。
早口でいっぱい喋ってしまっているが、ウンウンと聞いてくれている。大人の包容力のようなものを感じて、少し安心してしまう。
そして、勢いよく、思いっきり腰を90度に曲げて、深々とお辞儀をした。
憧れの人に対する敬意の表れ。
しかし、その憧れの人物の目線は、屈んだことで生まれたワンピースの弛み。
その奥には肌着と灰色のスポーツブラがチラリと覗いていた。
【ありがとうございます、こちらもこのようなお返しで…。展開によってはこちらの行動が想定されていることもあるかと思いますので、その際は遠慮なくお伝えくだされば、そのように動きます。無知ではあるものの、大前提の基本的なことくらいは理解している、『中学生にしては知識ないな』という程度の感じにしたいと思います。例えば、バッティングフォームを教えられながら、身体が密着してお尻を揉まれていたり…。でも、それはフォームを教えてくれているんだから、少し恥ずかしいけど変なことじゃないよねって処理してしまうような。(明らかに変な手つきでも)
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