「ええっと、この喫茶店だよね?」
服装をきめすぎない程度に整えて、約束していたお店の看板を確認する
この地方の繁華街だけれど、少し人ごみから外れたこの辺りなら逆に人目につかないからと決めたのです
「すみませーん
このお店に、遊人さんっていう方が先に入ってませんか?」
穏やかそうな営業スマイルの店員に声をかけ、「お待ちですよ」と奥の席に案内される
背中向きだから顔は分からないけれど、どうも20代後半というには華奢な体つきに見えた
そしてそばに立つと、うわずった声で挨拶した
「あの、遊人さんで間違いありませんか?
私、お約束していたみきです
どうか今日はよろしくお願いします」
実際、どんな人なんだろう?
実際のSMは未経験だそうだけど、ちゃんとお互いに呼吸を合わせてプレイを楽しめる人なんだろうか?
もし暴力的で、女をモノとして扱うタイプだったらどうしよう
とにかく、今日はお話だけ聞いて、合わない人ならきちんとお断りしないと
様々な思いが頭を駆けめぐるなか、「遊人さん」がこちらを向く
「え、どうして?」
それは、とても20代には見えない顔
というよりも、よく知っている顔
昔から知っている、この子にそういう趣味があったの?
というか、知り合いに私の性癖がばれた!
どうしよう、口止めしないと
想定外の状況に固まってしまう私
そんな私に、遊人さん、いいえ海斗くんが声をかけてきた
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