パチンコ、スロット…、代表的な大人の遊び場の一つとして挙げられる場所。
公安委員会の許可の下で営業が許される、云わば合法ギャンブル。
表向きは余暇産業に分類される業界だが、一日当たりの平均使用金額は3万円とあらゆるエンターテインメントのそれを遥かに凌ぐ。
しかし、ひとたび勝利の味を知ってしまえば病みつきになり、狂ったように出費がかさみ始めても止めることができない。
そんな中毒性の高い世界。
勝って金を手にしたい、その為に金が必要。
この負のスパイラルが、幾人の人間から人間性を奪っていったのだろうか。
今日もまた、常人が立ち入れば意味を塞ぎたくなる騒音で包まれた空間の扉が開き、その犠牲に…、贄になっていくものが…。
「お…、またCZ入った…。30%ってところか…もしかして上もあるんじゃねぇの…?」
慣れた風にレバーを叩きながら、数少ない上機嫌で遊技ができている男。
今でこそ、メダル機が数えるほどしかなくなってきたスロットコーナーでは、データランプ上にデジタルのドル箱が表示され、大凡の枚数はそこで確認できる。
そしてさらに男の台の上部に刺さった札。
-5000枚OVER!!-
誰がどう見ても良挙動を示している男の台を羨ましそうに見つめる客が後を絶たない。
「ふぅ…、順調順調…、こりゃ閉店まで打ち切るっきゃねぇなぁ…。
普段は貢ぎまくってんだ…、こういう日はとことん還元してもらわない…ん…?」
意気揚々と遊技を進める中、ちらっと横に視線を向けると見知った顔が
「あれ…?ちさと…ちゃん?ちさとちゃんじゃない?
え、まじ、久しぶりじゃんっ。」
そんな声を掛けながらもレバーを叩く手は止まらない。
一日に回せる回数は限られている。
良台を掴めば、ぶん回す。それは常識だ。
「珍しいね…こんな看破に時間と金のかかる台に座るなんて…。」
ちさとに声を悪友、スロ友の類。
見た目こそイケメンと呼ばれるほど容姿は良く、女受けも良い男。
そのくせ調子が良すぎるところもあり、必要以上に関わることは避けたいと思われがちな男だった。
【書き出しありがとうございます。
特に変えたいところもなかったので、それっぽく繋いでいきました。
何かあればおっしゃってください。
こちらも修正いたします。】
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