薄暗いお店の中・・・禁煙になり、私が打ち込んでいた頃に比べれば
環境は良くなり、店員の接客も優しいモノになっていた。
興味本位で覗いた私、ちょっと覗くだけのはずが打たずにいられるはずも無く
吸い込まれる様に空き台に座っていた。
久しぶりに触るコイン機・・・。
サンドにまず一本・・・現金を吸い込ませる・・・・。
マシンに46枚クレジットが表示される。
体感的に遊戯の仕組みは読み込めた。
ちょっと・・・軽い気持ちがワンゲーム、もうワンゲームとぬかるみに・・・。
嵐
「あれ?・・・ちさと・・・ちゃん?ちさとちゃんじゃない?
え、まじ、久しぶりじゃん」
そんな声を掛けながらも、男のレバーを叩く手は止まらない。
一日に回せる回数は限られている。
良台を掴めば、ぶん回す・・・それはこの世界じゃ常識だ。
私もわかっている。
ちさと
「あ、嵐さん・・・久しぶりね・・・まだ凌いでいるんだ・・・」
嵐
「珍しいね・・・こんな看破に時間と金のかかる台に座るなんて・・・」
このお店はスマートシステム、でた出玉はデータパネルに現れる。
ちさと
「今日は調子良いんだ・・・」
隣がどんなに調子良くっても、自分で狙いを付けた機種で負けた事なんて無かった。
だけど、今日はほんの出来心での実践。
選んだ根拠なんて無い・・・。
しかも、お店のクセや、設定士のクセなんてもうわから無い・・・。
みるみるタネ銭も心もとなくなってきた。
調子良く出している男を恨めしく見つめてしまう・・・。
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