スッ…
ソファーの前に佇む背もたれのない椅子にそっと腰を掛ける柿原。
「本日は当病院にお越しいただき、誠にありがとうございます。
改めまして、櫻井様の担当をさせていただきます、柿原と申します。どうぞよろしくお願いいたします…」
柿原はやや柔らかい表情で改めて自己紹介をする。
冷静な表情ながらもどこか優し気なものを感じさせる。彼女なりの振る舞いだろうか。
「さて、先ほどご依頼がありました、治療の説明をさせていただきます。
…今回の治療は…勃起不全に対する施術をご希望されているとお聞きしております。
先ずはカウンセリングを通して櫻井様の現状を出来るだけ詳しく知っていきたいと思っています。
勃起不全といえば、主に加齢に依る性欲減退が起こる患者様が多くの割合を占めています。
やや少数派ではあるものの、直接的な怪我、精神疾患なども原因となる患者様もおられます。ですので、原因は単純ではなく、個人差故、複雑と言われています。
櫻井様は現在38歳…ご年齢としてはお若いです。
中にはそのご年齢で発症される方もおられますが、多くは加齢ではなく…精神疾患に依るものです。
櫻井様…大変恐縮ではございますが、心当たりはございますか?
差し支えなければ、ご自身の症状、心当たりなどを…ご説明していただけますでしょうか?…」
柿原は用紙が留められたバインダーを膝の上に乗せ、貴方の目を真っすぐに見ながら話し続けた。
礼儀、腰の低さ、配慮…そういったものが完璧に振る舞われる中、逃げようがない程の眼差しを向けている…
容姿が容姿だけに、二回り程年下の女性…少女に問い詰められている様な倒錯感が室内に充満していた…
【治療内容的に、寝取り行為は必然的に起こるものと捉えています。
そこが伝わっていなかったのかもしれません。
必然的ではあるものの、行為自体は性行為。そこに嵌まってしまう櫻井さん…というイメージです。】
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