「あ、あぁ…。
それじゃ、準備をしてくるよ…。」
促されるままに更衣室…、というより、着替えるわけではないのでどちらかというと脱衣場か。
どうせ晒すのだ、そんなスペースに意味があるのかさえもわからないが、体裁というものもあるのだろう。
変わった治療内容とは言え、れっきとした医療機関だ。
無法地帯のようにそこいらじゅうで全裸を晒すような真似をするわけにもいかないのだろう。
「…。」
剃毛を願い出た。
シャツにズボン、一枚ずつ身に着けていたものを脱ぎながら自分の言動を振り返っていた。
年頃ともいえる女性に。
それも話の内容から察するに相手のいる女性に、剃毛…そしてその後の口淫行為、そして射精の促進、そのテイスティングとまで着ている。
現実感のない状況、夢のような状況に芽生えてくるのは興奮と高揚感。
悪ふざけを考えているわけではない、しかし、不貞行為の確信さえある妻との子を望んで治療に来たはずの当初の自分の気持ちがどこか薄れているような感じがしていた。
年相応、弛んでこそいないものの、やはり年齢を感じさせる身体つき。
痩せてはいないが、運動していた頃ほどの筋肉量はなくその残骸が、それとなくごつめの身体つきを残してくれているだけ…そんな身体。
だらんと垂れ下がるモノ…、は、わずかながら固さを見せていた。
それはこの状況、相手の容姿や言動に多少なりとも高ぶりを感じているからなのだろうか。
根本に生える陰毛は長く、面積も広い。
綺麗に剃りきるには骨が折れる作業かもしれない。
幾本かは陰嚢から直接生えている物もある、丁寧且つ慎重なケアが必要になる。
それをどう処理するのか…。
男自身は気づいていなかった、先端…その鈴口から欲望の先走りが小さく透明な粒を作っていたことを。
「お待たせ…、準備できたよ…柿原さん。」
そして男はドアの向こうで待つ女に声を掛けた。
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