「ふぅ…。よかった…、それならお願いできそうだね…。」
安堵の吐息…、それは果たしてどういう意味合いが色濃いのか。
苦手な刃物ではないものでの剃毛だからか。
それとも、願い出たことへの承諾を得られたからか。
あるいは…、ここへきて初めて少し邪な感情を孕みながら口にしたことを勘ぐられることなく通過できたからなのか…。
「そうだね、何度もお願いするわけにはいかない。
2度目からはできる限り自分で剃るようにするよ…譲歩してくれてありがとう。」
次回から、2度目から…。
それもまた意味合いの深さを感じる。
常に一切の毛を排除した状態での施術、治療、というなら話は変わるが、そんな短時間で伸びるモノではない。
個人差はあれど、1,2週間程度であればざらつきこそ出ては来ても、邪魔になるほどではないはずだ。
邪魔になるレベルを現実的に考慮するなら最低でも1か月はかかってくるだろう。
ともすれば、そんなに簡単に治療できる病の類ではない、という意味合いもあるだろうが…
それだけの期間は、プライベートでの口淫をシャットアウトし、治療に専念すると言う事になる。
彼氏という、婚前では最も肉体の距離感が近い相手…から、奪っているような感覚。
想像するだけで、患っているものが治癒しそうな興奮を感じているような気になってくる。
といっても、膣内射精が上手くいかない…というだけで勃起不全なわけではないのだ。
この時点で勃起をしていても、おかしくはないが…さすがに不謹慎か…。
せめて…治療が始まってからでなければ、格好がつかない。
等と…、真面目に治療についての説明を行っている千紘をしり目に、卑劣極まりない感覚と対峙していた。
と言えるほど…、既に妻の不倫というメンタルへのダメージは気にならないところまで来ていたかもしれない。
それだけ、目の前の女の、良くも悪くも誠実に卑猥な言葉を、行動を表現する様に魅了されていたのかもしれない。
「なるほど…、それもやっぱりお願いした方が良いんだろうね…。
君の言うようにこちらも別に疑う気はないが、実際に目で見た方が説得力も強い。
百聞は一見に如かず、という言葉があるくらいだしね…。
しっかり確認させてもらってから、飲み干してもらうようにするよ。」
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