手錠をつけられた捕虜が次々に集まってくる。
こうしてみると、私たちの装備と彼らの装備には大きな差があり、国自体の余力の差を痛感する。
(ニュースでは勝利確定みたいな話ばかりだったけど…、全部嘘だったのかな…。)
投降兵はシノのように徴兵された女性兵の他にも、同じく徴兵された男性兵も多く、十数人ほどが戦いを諦めたようだった。
男性は人夫として扱われるらしく、男女に分けられていた。
現役の地雷の撤去はかなりの危険を伴う作業。
捕虜の扱いに少し眉を顰めていたが、乾いた発砲音でビクンっと小さく飛び跳ねる。
(えっ、えっ、えっ…!?こ、この人、投降したんじゃないの…っ!?なんで、撃って…)
負傷している男性兵は次々に『処理』されていった。
あまりの出来事に言葉もなかった。
簡単に殺されるんだ、抵抗すらできない事実に、じわりと脂汗が滲み始める。
残された女性兵は六人であり、皆が青ざめた表情をしていた。
少し歩くと、野営地のテントが見えてくる。
基地敷地内のそれは、占領が完了した証でもあった。
「キャアッ!!!嫌っ、嫌ァッ!!助けてっ、嫌っ、助けてェッ!!!」
唐突に男達に突き出された女性兵。
確か名前は…カリン、だったかも…?挨拶をした程度だったが、正規兵のかっこいいお姉さんだったと思う。
その彼女の衣服を剥かれ、群がる男達の中に消えていった。
彼らは余力を残して戦えている。
スノウ共和国のように、学徒兵や強制徴兵によって無理やり兵士を作っていないが故、女性に飢えているのだ。
(こんなの…国際法違反…、だけど、誰が裁くの…?)
嫌な予感がする。
明らかに法を犯している彼らだが、こうなれば法は私たちを守ってくれない。
残るのはシノともう1人の少女。
同じように手錠をかけられ、血の気が引いた表情で呆然としている。
司令官の言葉を聞いて、パッと顔を上げて少女の方を見た。目が合う。
(この人にしてください…って、言わないと、指差して…。だって、あんな酷い目に遭いたくない…)
「お願いっ、やめてぇっ!!」「嫌っ、叩かないでっ、言うこと聞くから…ッ!!」
すぐ横で仲間達が犯され、泣き叫んでいる。
シノがやるべきことは一つ、だが…。
(でも、そしたらこの人が…。)
戦う覚悟も、死ぬ覚悟もできていなければ、他人を蹴落とすこと覚悟もなかった。
自分が指をさしたせいで、1人の女を地獄に落とすことになる。
口をパクパクさせてまごついていると、目の前の少女が、手錠をかけられた手でシノを指差した。
「あっ、あ…あの子っ!!あの子にしてくださいっ!学徒兵で、まだ高校生だって、聞きましたっ!私よりも若い女だし、おっ、犯しがいがあると思いますっ!」
【お返事に気が付かず、遅くなってしまってごめんなさい。こちらもお返事がなかなか遅くなりがちですが、よろしくお願いします。】
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