遼子を雇い入れてからは、事務作業は大幅に減り、顧客対応など煩わしさとストレスがかかる応対もすべて遼子にまかせてあるので仕事が非常にはかどるようになった。
ペンを指先で玩びながらも頭の中は忙しく動かしながら物事に集中できるようになっていた。
目鼻立ちの整った遼子だが、決してセックスアピールを感じるような女性ではなく、落ち着いた大人の女性であり聡明で明るい。
(この場合のセックスアピールとは、自分の体を男性に誇示したり女性であることを鼻にかけるという意味で、女性的な魅力がないという意味ではないが。)
そのうえ、雑談やセクハラギリギリの話題にも上手に答えたりいなしたりしながら合わせてくれる、私にとっては非常に稀有な存在だった。
服装もセットアップものを着用してわが事務所には過ぎたる人材であるといえる。
だが、本人が女性を前面に出さないということは、逆に男にとって女性の部分を見たくなる、覗いてみたくなる存在だと言い換えることができるのである。
男とは不思議なもので(いや、私だけかもしれないが)、隠されればみたくなり、暴いてみたくなる、天邪鬼のような性格のようで、あの一瞬、目の飛び込んできたスカートの奥、無理やり見るのは犯罪だが、
遼子が、一般的に女性が、男性の目から遮断しておきたいものを、隠れて見てみたい気持ちが強くなっている自分の気持ちを持て余しているのを、他人事のように考えることが多くなった。
『・・・っん?、橋本様?あっ、了解です。
数か所の候補地の資料を用意しておいてください。』
椅子に背中を預けると、両手を広げて背を伸ばした。
準備できておりますと答えて、後ろを向く遼子のスカートの丸みに目をやる。
社員の制服に口を出すつもりはないが、暑くなってきたしブラウス姿の遼子を見てみたいと思った。
その時、遼子のブラの線は見えるのか、見えないのか。
多分、遼子ならそういう線は見せないだろうと思うが。
遼子はどんな下着を好んで身に着けるのか。
傍から見ると、仕事のことを考えているように見えるだろうが、社員の下着の好みを考えているとは、自分自身で呆れてしまう。
頭を冷やそうと、近くのコーヒーショップというよりは昭和的な喫茶店に行くこと遼子に告げて事務所意を出た。
『12時半までには戻るから、刈谷さんもお昼を済ませておいてください。』
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