「えっと…赤い…マジックペンを…。」
消え入りそうなか細い声で呟く私とは対照的に、フロントにいたカップルの声は大きかった。
ヒソヒソ話している風を装いながらも、私の耳にしっかりと届くような声量。
『そんな…私はそんな…。』
カップルの会話を否定しようとしても、客観的に私はカップルの会話通りの女に見えてしまうだろう…。
『今の私の格好じゃ…そう…言われても仕方ない…よね…。』
全身を恥ずかしさが包み込むものの、それはここに来たばかりのそれと比べれば、それほど嫌悪するものではなくなっていた。
『凄い…見られてる…。』
目の前のカウンターの中に立つ中年男性。
左右から挟み込むように立つカップル。
周りから容赦ない視線を浴びせられて、恥ずかしいながらも何故か身体はカーっと熱く火照るような感覚…。
「え…。借用書…ですか…?はい…わかりました…。」
店の備品を借りるのだから当然と言えば当然。言われた通りに目の前に差し出された書類に必要事項を記載していく。
腰ほどの高さのカウンター。当然身体を折り曲げて書かなければならない。
身体を前に倒すと重力に引かれた乳房はその重みで前へと集まり、深い谷間を作ってしまう。
と、同時に乳房の質量に押し拡げられるワンピースの胸元。
そこに突き刺さる目の前の中年男性からの視線。
それと共に両側から容赦ないカップルの視線までも突き刺さる。
その視線は私の心の奥を抉るような視線となり、胸の奥深くに存在する羞恥心を確実に仕留めるように貫かれ、視線が突き刺さる度に私の羞恥が溢れ出すような感覚。
そして足元に小銭が散らばる『チャリーン』と言う音。
この音が私の心に暗示をかけるように作用し、私の中で何かが崩れ落ちるような気がした…。
そう…私に向けられる視線が…。
イヤらしければイヤらしいほどに…。
低いカウンターに腰を曲げている私。
自然とお尻を後ろに突き出す態勢に…。
背後からスカートの中を覗き込む視線を痛いほどに感じながら、目の前からもニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべる中年男性に卑猥な視線を浴びせられる。
『そんなに…見られたら…こんな恥ずかしい格好なのに…。』
その時、背後から脚を拡げるように言われたような…。
すでに五感は麻痺し、陶酔の世界に入り込もうとしている私にとって、投げかけられ言葉の意味が理解し難く…。
「ひっ…!」
応答のない私の脚を思い通りに開かせようとする女性の指先が私の太ももの内側を撫でる…。
途端に身体は震え、まるで軽く上り詰めたかのように甘い吐息を鼻から吐き出してしまう…。
変わらず太ももの内側を撫で続ける指先。
上っては下りて…その繰り返す動きは、敏感な部分への接触を期待するかのように、自然と脚は開かれていく…。
『あっ…その上…もう少し上なの…。
なんで…?なんでそこまでなの…?』
私の心を見透かしたかのように、敏感な部分へは触れない指先…。
焦らされているかのような指使い。
もっと…もう少し…そんな想いを何の躊躇いもなく心に浮かべてしまう…。
その指先の責めと相まったように浴びせられる中年男性の言葉が、私の心の壁を少しずつ取り払っていくかのように…。
【遅くなりすみません。
少し中途半端ですが、この先の展開のお邪魔をしないように…。】
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