「ほんと?‥ありがとう‥」(ニコッ‥)
本棚を見せてくれると言われ、弥生の表情は途端に緩み、目が線上になる程の笑顔になる。まるで別人の様な表情。何より、普通に可愛い顔をしている‥
「わあ‥いっぱい‥‥すごいなぁ‥」
隣の部屋へ入ると弥生は感嘆し辺りをゆっくりと見て回る。
「うん‥私も本読むと‥何故か凄く落ち着くんだ‥せんせいも一緒なんだね。」
次第に増えていく少女の口数‥貴方への共感を示しながら‥
やはり、悪い子じゃない。
「え‥自由に?‥‥嬉しい‥ありがとう杉浦せんせいw」
また目がなくなるあの笑顔。
余程嬉しいのだろう。弥生は貴方にしっかりと感謝を口にする。僅か10分足らずの中で二人の距離はグッと縮まった。
「う~ん‥えっとぉ‥
‥この本にする‥」
弥生は細長い指を本の横面にそっと当てて滑らせながら、ゆっくりと本を選び始める。
気に入ったものがあった様。人差し指を奥行きに掛ける様に差し入れ、スッと一冊の本を取り出した。
[この世の本質]
少女には似つかわしくないタイトルが貴方の目に入る。
哲学書だろうか?‥
(パラッ‥)
[この世は本音と建前で出来ている。
もし君がこの世界に馴染めなくとも、何ら心配はいらないよ。自分をもって生きていけばいいんだ。]
哲学書とも言えるが、作者の独白にも感じる。
(パラッ‥)
[君は何に悩んでいるんだ?それは本当に気にする様な事なのか?思い込みじゃないのか?]
「‥‥」
何ページか捲ると、弥生の顔から可愛らしい笑みが消え、当初のアンニュイな目に変わっていた。
「せんせい‥これがいい‥」
【背徳感、悪戯心、罪悪感、優越感。この4 つかなと思います。
お父さんに対して露骨に勝ち誇るのではなく、なんとなく感じる様なもの‥といった感じです。上手く言えませんが。関係性を考えれば争っているものではないので伝わっていると思いますが。ただ、場合によっては優越感という要素が振り切ってしまうのかな‥と思うので、その辺りは大丈夫です。】
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