「良いのかい…?」
赤の他人の…、出会って数分の男の家だよ…?
とまではさすがに口にはしない。
驚きながらも、有砂の無邪気とも、無防備ともいえる言動に戸惑いつつもチャンスとばかりに声のトーンが少し上がる。
視線は完全に有砂の身体を走る。
娘…、がいたらこんな感じだったんだろうか…。
そんな風に無意識に考える脳内。
徒歩圏内にある1Kのアパートに有砂を招き入れながら、
「さすがに少し緊張するね…。
お父さんに怒られない時間でちゃんと帰すから…何時でも言ってね?」
つまり、有砂が帰ると言えば、帰す。
逆を言えば、こちらから帰ることを促す気はない、とでもいうかのよう。
殺風景でシンプルな室内。
当然1Kというこじんまりとした間取りだ、招き入れるリビングともいえる場所にはベッドも存在している。
初対面の親子ほど年の離れた少女をベッドの部屋に招き入れるという異様な光景に、さすがに興奮の色も隠せず。
自分の娘が知らぬ中年の下へと招かれている、と考えればきっと居ても立っても居られないだろうなと感じながらも。
「コーヒーで良いかい…?
ごめんね、ジュースとかおいてなくて…。」
と、いったん気持ちを落ち着かせるためにキッチンで飲み物を準備して。
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