「あぁ、そこまで詳しくはないけどね…。
ただ、そう言う人が多いからこそ、きっと理解を広げていかなきゃいけない…そう思っているんだ。」
何とか会話に持ち込むことができたことにほっと胸をなでおろす。
ひとまず重要なのは、理解がある大人だと言う事を示すこと。
とはいえ、専門的な知識があるわけでもなければ、言葉通りの意図があるわけでもない。
ただただ、目の前の少女に惹かれる何かを感じた、それだけに近いのだから。
「聞いていると、男子、男の子たちと遊ぶ方が気楽そうな感じだったね。
女の子として見られる事への抵抗というか、むしろ女の子として見られる事への違和感の方が、やはり大きいのかな…?」
ゆっくりと歩きながら、周囲を一応気遣いながら話を続ける。
実際は、どこか人目のないところへと引き込みたいところだったが、いきなりもいきなり、そんな都合よく話が進むわけもない。
目に留まるのは、本当に男に焦がれている…もとい、自分を男だと思っているのか?と疑いたくなるほど発育の良い体つき。
男がほっとかないだろう。そう感じさせる肉感、柔肌、何度もその四肢に視線を奪われそうになる。
「有砂ちゃん…ありがとう。
名刺にも書いているけど、私は斎藤だ。
冴えないおじさんでごめんね…?時間が許す限りで良いから、話し、聞かせてもらえると嬉しいんだけど。
親御さんは門限とかに厳しいのかな…?」
下校途中と言う事もあり、夕方の最中。
少しの時間で夕日は沈んでしまいそうな時間である。
せっかくのチャンスを不意にしたくない思いが先行し、うっかり言いすぎてしまうよう。
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