【こちらこそこちらの希望を汲んでいただきありがとうございます。
何かあれば【】でいつでもおっしゃってくださいね。】
「…。」
思春期の時分に数回見かけた程度の知人の娘。
派手さはないものの、上品さ、清楚さと発展途上の肉付きの良い体つき。
そして何より、モノを知らない無垢な箱入り。
いつかは…。
そう思っていた願望、妄想にも近いことが現実に起ころうとしていた。
「碧ちゃん…、久しぶりだね…。何年ぶりかな…?」
歓迎ムードで碧を受け入れる男。
開口一番、再会を喜ぶような声を掛けるも、視線は碧の顔…ではなく、さらに魅力的に育ったその身体を走り抜ける。
思わず生唾を飲み込みそうになるほど、男受けするその身体つきに男は魅入られていた。
瞬間、ハッとし我に返ると、わざとらしく咳ばらいを挟んで、再会の挨拶を続ける。
「無理なんてことはないさ…。
お母さんも大変な時期だ、君が支えてあげないといけない。
そしてそれをちゃんと自覚している君は、偉いと思うよ。
さ、座って…。」
碧の行動を褒めるような言葉を並べる男。
しかし、年齢も年齢。
何とかしようと動くこと自体は、もはや当たり前の領域。
それでもなお、慣れないのか、着慣れないリクルートスーツに身を包み、緊張気味の碧の心を解すようにそんな言葉を用いて。
簡易的なデスクを挟んで向かい合うように椅子が設置されている。
デスクは概ね社長である男の為に設置されており、碧側は椅子のみ。
より面接を意識させるような簡素な状況をあえて創り出していた。
「碧ちゃんにはうちの会社で事務処理をお願いしようと思っている。
主に私の仕事の処理が中心だ。
ぜひ働いてほしいとは思ってる。
でも、他の社員はもちろん、先輩事務さんも皆、厳しい面接、実技試験を乗り越えて採用させてもらっているんだ…。
君だけ例外にすることはできない。
厳しいと思うが…、お母さんの為…、頑張れるかい…?」
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