伏線を張るように、面接が厳しくなることを伝え。
さらに、本来は必要でもない実技、等という物を当たりまえのように盛り込む。
部下たちへの根回しは上々。
どちらかと言えば、仕事ができるような子ではないが、世話になった友人の娘だから何とか使ってやりたい。
同情採用だとでもいうかのように伝えていることで、誰も碧に期待などしていない。
ともすれば、そんな子の面接に等、誰も興味はなく会議室自体は閑散としている。
「良い挨拶だ。
どんな仕事でも挨拶ができないと始まらないからね…。
明るい挨拶で会社にもいい影響を与えてくれると嬉しい。」
そんな軽い世辞を挟みながらも、視線はあくまで碧の身体に向いている。
肉感的な胸元、そこに指を沈ませればどんな感触だろうか。
考えるほどに、妄想は膨らみ…それ以上に膨らみそうな股間をぎりぎりのところで誤魔化し、保っている。
「では、社員名簿に記載する内容も兼ねて質問していくから答えてくれるかい。」
わざとらしく名簿のような分厚い冊子を捲りながら、雰囲気だけは意識しつつ緊張感を醸し出して。
「まずは名前…、生年月日と家族構成。
これは必ず必要だから頼むね。
あと、この後は、答えられたらでかまわない。
でも、面接に受かりたい子はだいたい答えるけどね…、おっと、ヒントになっちゃったな。
聞かなかったことにしてくれ。」
まるで碧への優しさかのようにクッションを挟むと
「身長と体重、女性だからスリーサイズ。
現在、過去問わず恋人の有無。
あ、これは早々に寿退社と化されたら困るから念のためって感じ。」
適切ではない項目を織り交ぜながら、如何に真剣に、あるいは追い込まれた状態でここまで足を運んでいるのかを確認するように。
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