私を残して1人、宅澤は住宅街を歩いている。
対向に近付いてくる人影が見えた、この区画を巡回していた
もう一人の警官・・・私のバディ・・・。
近付くにつれ初老の男性警官が息を切らせて歩いている。
相方が心配で急いでいたが、お年のせいか息が上がっていた。
宅澤
(このペースだとちさとの身繕いが間に合わないな・・・)
放置した私の時間稼ぎの必要を感じたのか徳山さんに声を掛けた。
宅澤「見回りご苦労様です・・・」
声の掛かる距離まで近づいた警官に宅澤は挨拶すると
突然のことに少し驚きつつも
徳山さん「ああ、ありがとうございます」
丁寧に返していた。
宅澤「急いでいらっしゃるようですが事件か何かですか?」
徳山「え、あっいや・・・実は・・・」
若干迷惑そうな対応も、足止めしようと思っている宅澤は引き下がらない。
なおも食い下がる、宅澤の態度に放してはくれないと諦めたのか理由を
答え始めてしまった。
徳山「実は相方の警官と近辺を巡回していたんだが・・・連絡が付かなくなってね」
宅澤「それは心配ですね、相方というのは・・・ひょっとして女性警官ですか?」
徳山「ええ、そうですが?何故女性だと分かったんです?」
宅澤「あ、いえ、先程そこで気分悪そうにしている女性警官が居ましたので・・・
でも、随分と回復されたみたいでしたし・・・」
など時間を稼ぐように会話している間・・・。
ちさと
「う、うげえ・・・今頃どうして・・・あいつ(宅澤)が・・・
浩二さん・・・ごめんなさい・・・わ、私・・・)
周辺に散らばった装備と身繕いを整えた私が合流すると・・・
宅澤「あ、彼女ですよね?話しておられた相方の女性警官さんって」
私を確認した徳山さんが安堵するのと対照的に、親しそうに話している宅澤を見て
私は徐々に青ざめてゆく・・・
ちさと(ど、どうして・・・徳山さんと・・・)
宅澤「ちさとさんっていうんですね、徳山さんからお聞きしました。
体調もどられたみたいで良かったですよ、先程お分けした“栄養剤”も
効いてるみたいですねw・・・」
無理矢理飲まされた、ザーメンを栄養剤などと言って言葉でも私を責める。
その上、徳山さんに気付かれないように顎で彼女の下腹部を指し
宅澤(下手な事をすればバラすぞ)
と脅しを入れられている。
そのまま雑談をしながら3人で街へと戻るが・・・
気が気じゃない私は未だうつむいたままだった。
徳山「大丈夫かい、ちさとちゃん?まだ気分がすぐれないみたいじゃないか」
今日はもう上がって、彼氏さんに甘えてきたらどうだい?」
私を気遣っての言葉だったが、最悪のタイミングで浩二さんの事を口にした徳山さん。
宅澤「彼氏、さん?・・・」
その言葉を聞いた宅澤は、私に向けて悪魔のような笑みを浮かべていた。
宅澤(まさか付き合ってる奴がいるとはね、セックスは?タトゥーのことも知ってるのか?)
途端に興味が湧いた視線を私に向ける・・・
宅澤「いやー、こんなに可愛い方と付き合ってる彼氏ですか?一体どんな方なんです?」
(いいこと聞かせて貰った・・・根掘り葉掘り聞かせてもらおうか)
涼しげな笑みを浮かべて、私に質問を投げかけた。
その眼は獲物の弱みを更に探るように冷たく鋭い光を放っていた・・・。
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