「花澤さん、この後カラオケ行かない?」
「ぁ…、ご、ごめんなさい。行きたいんだけど、バイトがあって…」
「あっ、そっか。バイトたくさんあるんだもんね、ごめんね」
(はあ…、最近ずっとお誘い断ってばっかりだなあ…。友達もなかなかできないまま時間が経っちゃった…。)
クラスメイトから遊びに誘われることがあっても、バイトが多く、遊びになんか行けない。
自分だけならまだしも、弟を食べさせなければいけないし、家賃も払えば毎月ギリギリ。
ほとんどのクラスメイトはエスカレーター式に上がってきた上流階級の家庭の子達が多く、会話もなかなか盛り上がらない。
この学校はいわゆるお金持ち校ではあるが、低所得世帯に対しては教科書等も無償とする独自の制度があり、紗枝達にとっては救済のような制度だった。
クラスで浮いてしまっていて、いざという時に助けてくれる人がいないと同義であるが、そうも言っていられない。
ローファーに履き替えて校門を出ると、弟である一輝の後ろ姿が見える。
「あっ!一輝っ、おーい…?」
声を掛けようと駆け寄りかけた時、背後から他の男子に怒鳴られ、髪を掴んで引きずられているのが見えた。
(どうみても友達同士の悪ふざけ…とかじゃないよね。…まさかイジメられてる…とか?)
見て見ぬ振りをして誰も助け舟を出さず、路地裏に引き込まれてしまった一輝を追い、少し様子を伺う。
(貧乏人…、二人で暮らしてるし、学校ではちょっと有名だもんなあ…。変な言いがかりをつけられてるんだ…。)
「ちょっと…っ!いい年してイジメ!?おっきい声出してせ、先生呼ぶよっ!?…一輝っ、早く行って…!早くっ!」
俯いて泣きそうになる一輝を見て、頭より身体が先に動いた。
割り込むように身体を入れ、三人の男を睨みつける。
(不良生徒で有名な三人組だ…、怖い…けど、一輝がこれ以上因縁をつけられないように…)
一輝を逃しながら、男達を見上げて睨みつけるが、三人の視線はブレザー越しの大きく膨らんだ胸元だった。
【ありがとうございます。こんな感じでどうでしょうか?このままマンションに連れて行かれる感じで…。】
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