「しまった…。」
不意に男は言葉を漏らす。
幼い少女に鎌を掛けられたことに遅れて気づいたのだ。
重ね履きをしていたかどうかなんて、それが何色かなんて、本人しか知るわけがない。
上手く誤魔化したつもりが、結果的に犯人しか知らない事実を口にしてしまう墓穴を掘ったのだ。
「諦めるか…。
ここから誤魔化す方が、よっぽど情けない…。」
深く息を吸い込み、時間をかけて吐き出す。
暑くもないのに額には汗が滲み、動悸が早くなっているのを感じる。
…。
ゆっくりとスマホの画面をなぞる指先が、文章を作っていく。
開き直るつもりは無い。
バレたのに、まだ隠そうとするのはもう無駄だと思っただけ。
『撮ってたから、だよ。
さっきまで撮った動画を見ていた。
そこまで鮮明な動画にはならなかったから、白だということは分かったけど…。
それが重ね履きだったと言われたら、そういう物もあるのかもしれないな、と思うしか無かったんだ。』
「ふぅ…。」
罵声、軽蔑、そんな言葉が来るならいい。
返ってくるなら何でもいい。
男にとって一番怖かったのは、ここで返事が途絶えること。
通報されたかもしれない、そんなことに怯える日々が始まるのだから。
こんな可能性も考えない訳では無かった。
しかし、今朝、少女のポケットにメモを残したこと。
なんであんなことをしたのか、とは思っても、後悔はしていなかった。
【難しい言葉は分かりませんが、近いかもしれません。
独占欲、支配欲、優越感、と言うのは、有り得ないと感じる相手ほど大きく感じることが出来る気がしませんか?
ぱんつくらい見せそうな子、より、見せるわけないと思ってる子、見せるわけないと思ってる子より、覗かれるなんて思ってもない子、の方がより特別に感じられる。
そんな印象を持ったのかもしれない。
見た目はもちろん重要です。
失礼ながら、極端に痩せていたり、その逆、あるいは貞操観念の薄そうな感じの子も対象にはならなかったかも知れませんので。】
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