「はぁ…またかよ…。」
スマホを手に呟く男。
その言葉は同僚からの二度目のメッセージを確認したときに漏れた。
そんなことあるわけない…。
そう思いながらも、期待していない、と言えば嘘になる。
そもそも…
「気づかず捨てた可能性だってあるっていうのに…。」
熱にうなされているかのように天井を仰ぎ、そのままPCから離れ、ベッドに倒れ込んでいた。
堅物な同僚からのメッセージ、まさかと思い飛びついたが裏切られ。
それも2度。
一応、テンプレのような感謝だけを伝えた。
もう、何という文章を送ったのかも覚えていない。
「今度は何だよ…。」
少しの間を置いて再びスマホが震える。
一周回って同僚に揶揄われているのではないか、とさえ感じた。
しかし、さすがに見ないわけにもいかない。
「りん…?
って…まさか…。」
メッセージはさっきの同僚からではなかった。
聞き覚えのない名前に、一気に全身血の気が差したような感覚を覚え、体を起こす。
「本当に…送ってくるなんて…。」
電車の人ですか…?
その言葉で期待は確信に変わる。
しかし男は早々に動き出すこともできず、指先も止まったまま。
あんなメモを残して、押し付けておきながら、まさかの事態にまさかの硬直。
「ど…どうする…。
興奮のあまりあんなことしちゃったけど…。
こ、これで、俺が…盗撮したって話が持ち上がれば、み、身元が特定されるのに…つながっちゃう…よな…。」
賢者モードも相まって、妙な冷静さ。
しかし、間髪入れないタイミングでどこかで何かが囁く。
-でもその子…、自分で足、開いたんだぜ…?-
そう…、撮られていると、スカートの中を撮られていると知りながら、脚を開いたんだ。
僅かに残る理性を、想定外の少女の行動、その記憶が易々と凌駕していくのを感じる。
「だ、大丈夫…大丈夫さ…。ちょっとくらい…。」
ちょっとくらい…、何と便利で愚かな言葉か。
どうせ自制など利かないくせに。
しかし、少しの開き直りが、気づけばメッセージの送信ボタンをタップした後に我に返らせる。
『まさか…本当にメッセージをくれるなんて思ってなかったよ。』
返す言葉としては及第点か。
電車の男なのか、に対しては返事をせず、メッセージへの驚きだけで反応を見せる男。
少女の真意を探るべく放たれたレスポンス。
大粒の唾液が、喉元を通り抜ける音が聞こえた気がした。
【先生でも…でしょうか。
先生だから…という部分はあるかもしれません。
普段何気なく向けている視線の先には無数の女生徒。
そんな少女たちが、本来見せるはずのないものに興奮する。
大人相手に仕事をするより、癖を歪ませる可能性は往々にしてありそうだなと、感じています。
歪んでいる…という意味では、貴女も私も同じかもしれませんね。
大の大人が、年頃の少女の下着で自慰に耽る様子に興奮する、十分歪んでいる。
それが中高生という、父親が家族より男として見え始めてしまう年頃。
より、その下着という物を誰かに見せる、あるいは見られる機会など減っていくでしょう。
そのようなモノを堪能する優越感、興奮というのは、はかり知れませんね。】
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