「…。」
思わぬ形で自らの存在を知らせてしまうような行動になってしまったことに驚く青年。
自分よりも相手の方が驚いている、なんてことを美優が想像するはずもない。
思わず男の顔を見てしまう青年。
どうすればいいのか…、わからない。
当然だ、一歩間違えれば盗聴だの、覗きだの言われるかもしれない。
数分前に知り合った…と言えるかどうかもわからない男に、云われるがままに壁に耳を当ててしまった。
まるで、自堕落が原因で犯罪に加担してしまったかのような心境。
助けを求めるように男の顔を見る青年。
数分を待たず、美優の書き込みによってスレッドが更新される。
「ふふっ…。」
思わず笑みがこぼれてしまう男。
不意に与えてしまった音が原因で、男に助けを求める青年。
指示に従い、挑発的な喘ぎを漏らし隣人に気づかれてしまったと思い、佐藤に助けを求める美優。
状況は違うとはいえ、自分の判断で行動ができない男女二人が、結果的に同じ男に助けを求めている構図。
さすがに面白くなってしまう。
《おいおい…いよいよやばくなってきてるじゃねぇか…。》
《こっちまで興奮してきたよ…。》
《つか、隣のやつ羨ましすぎないか…?俺なら速攻で突入するんだが…。》
《ほら、兄ちゃん…いや、佐藤さんよ…助けてやんなよ。美優ちゃんが困ってるぜ…?》
場が進展すれば、当然野次、煽りも盛り上がっていく。
現場では男自らが、ネットでは佐藤という男が…、いずれも同一人物。
あらゆる男を御し、そして妻をまだ見ぬ羞恥・快楽の沼へと引きずり込む工作。
ゆっくりとスマホの上を滑り始める男の様子を見て、青年は更新されるPC画面を見つめている。
《どうしたらいい…ですか。
違うよ…、お姉さん…。
お姉さんがどうしたいのか…でしょ?大事なのは。
お姉さんが嘘を付いていないのなら、そこはネットカフェ…。
危険があったとしても、何かあれば誰か来てくれるし、警察も呼んでくれる。
分かる…?
話が通じる相手なら…、もっと楽しめちゃうかもしれないってこと…。
ぱんつのシミ…くちゃ、くちゃってしながらよく考えなよ…。
見られたらどうなっちゃうのか…、知りたかったんじゃないの…?
えっちな言葉…もっと聞かれたかったんじゃないの…?
もっと聞かれたい…?
覗かれたい…?
それとも…触られたい…?
変態さんの身体は…何を望んでるのかな…?
聞いてみて…?お姉さんの身体に…。
そして感じたままに言ってみなよ、お隣さんに。
もっともっと本当のお姉さんの声を聞いてほしいのか…。
もう我慢できないから、直接覗いてほしいのか…。
もっとその先も…なのかね…。》
思った以上の長文の更新に、青年も驚きの色を隠せない。
誘いに乗ってはいるものの、ここまでの急展開は想定していなかったのだろう。
もっとその先…、男が何を意図しているのか…青年の想像をはるかに凌駕する。
興奮に交じる不安、美優の反応をただ待つように、男は壁に耳を当て続けた。
【ご理解いただきありがとうございます。
分かりづらい描写に丁寧に合わせていただき、とても嬉しいです。
美優さんがスレ立て当初に想定していた流れから逸脱していないか、それが少し心配ですが。】
※元投稿はこちら >>