とても他人に見せられるような姿でない事はわかっていた。
ワンピースの前側のジッパーを上からも下からも開いてしまえば、お腹の辺りだけがキツく閉じられているものの、上下の下着は露わになる…。
しかもその下着は通常の下着にあらず…。
何かのプレイに用いられるようなシースルーの下着なのだから。
ブラもパンティも透ける生地は地肌を覗かせ、ブラにいたっては有るべきカップもパットも存在せず、ワンピースの上からでもその小さな突起を確認できるほどに…。
下着としての機能を持ち合わせない下着は、その特長故に私の心をより乱れに染め上げていくものなのだろうか…。
『返事…そうだよね…みんな集まってくれてるんだし…コメント…しなきゃ…。』
私からのコメントが途絶えた事に話題は集まり、様々な意見が飛び交うサイト。
疑心暗鬼なもの…急かすようなもの…。
自分自身を守る為なのか始めから存在しないと言い張るもの…。
思い通りにならない事を逆恨みするもの…。
にわかに荒れ始めたかと思いきや、やはりあの人のコメントがその場を鎮めるように働いている。
『やっぱり…あの人の言う事が…一番しっくりくる感じ…。』
荒れた場を治め、私の心を掘り起こすように向けられる言葉。
何故かは分からなくとも、心地よいことだけは理解できた…。
『そう…私は…あの人に支持されて…こんなにイヤらしい格好を…してるんだから…。』
隣のブースとの間の壁に凭れながら、改めて自分自身の姿に視線を向ける。
「イヤらしい格好…。」
つい言葉にしてしまった声が口からこぼれ落ちる。
先程言わされた言葉と言い、つい漏れてしまった声と言い…言葉として口にした瞬間に心と身体の昂りが増していく。
興奮と言うには自分自身、信じがたい心持ちであり、それを認めまいとする理性が辛うじて私の人格を繋ぎとめる。
ゆっくりと椅子に腰を下ろすと、パソコン画面に向かいキーボードを叩き始める。
《コメント…遅くなってごめんなさい…。
指示された事を実行している間に…いつの間にか時間が経ってしまって…。》
私がコメントを疎かにした事で、この場所が荒れ始めてしまったことを謝罪するあたり、本来の真面目さが顔を出したのだろう。
《えっと…その…私は…変態さん…なのでしょうか…?》
柔らかな物言いの中に、私の心を支配するような力強さを感じるコメントに、反応を見せる。
《パンティは…確認してみてとの指示でしたので…。
はい…濡れていました…。
夫に愛撫されても…これ程にはならないだろうと言う程に…。
原因…ですか…?
そうですね…。夫ではない…男の人に指示されたから…でしょうか…。
見知らぬ男の人に…恥ずかしい姿にされて…恥ずかしい言葉を…口にしたから…。》
そんなコメントを打つ時には、間違いなく夫の顔が頭の中に浮かんでいた。
こんな事を言ってしまうのは申し訳ないと思いながらも、夫と比較するような言葉を口にする事が、心の奥からゾクゾクしたような感覚に襲われる…それが堪らなく気持ちのいいものだった…。
《見られたい…それは変態さん…ですよね…?
見えちゃったなら…事故…なんですよね…?
本心を言えば…少し…見てもらいたい…のかも…しれません…。
見えちゃう…そんな事故を望む心は…見せちゃう…事と…何か違いがあるのでしょうか…?》
そんなコメントをあげると、椅子の音を響かせながら立ち上がり、隣のブースとの間の壁に無造作に両手をついて凭れかかると、わずかにドスン…と音が響いてしまう。
「私…今…イヤらしい格好してるの…。はぁ…。ワンピースをはだけて…ブラも…谷間も…パンティも…見えちゃってるの…。
あぁ…。こんな私を…見てみたいですか…?
今…私のブースを覗いたら…私のイヤらしい格好が…覗けますよ…?」
先程の囁くような声色とは違い、少し抑え気味にしたとは言っても、耳をすませて様子を窺っていれば聞き取れる程の声で…。
隣のブースに向かって両手をついて顔を寄せるようにして、まるで隣のブースに語りかけるように声を漏らしてしまった…。
【お優しい言葉ありがとうございます。
大輔さんの素敵な文章の続きが拝見したくて…少しずつでもお返ししようかなと思いまして…。
こちらこそ、お返事はいつでも構いませんので、無理はなさらないで下さい。】
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