『えっ…!?なんで…!?なんで私こんなこと…。ウソよ…そんな…そんなはずないよ…。』
始めは夫の為に夫の願望を叶える為だった。
そう…一度だけ…今日だけ夫の為に…私自身、いやいや始めたはずだった。
それなのに今はサイトの言葉に踊らされ…惑わされて…心も身体も昂ぶろうとしている自分が信じられなかった。
夫には決して言えない事実…。
サイトの言葉に煽られて…確かに鼓動は高鳴り、気分すら高揚し始めてしまっている。
『これ以上は…もう…。』
ブレーキをかけるなら今しかない事はわかっていた。
ここでやめておけば…そう思う気持ちがある。
しかし私の心と身体がこの先の知らない世界を覗いてみたいと思ってしまう事も事実…。
好奇心…それとも…本当の私は私自身が知らない姿をしているのか…。
『そんな…私…そんな女じゃ…。
脱いでなんかないし…暴走なんか…。』
サイトの言葉が私を煽る。
しかしそれは欲望を剥き出しにした心無い言葉達。
その言葉には心が自然に拒否反応を見せるものの、それは辛うじて残る理性がもたらす反応。
それを…理性を…私から取り除こうとするあの人の言葉が私を混乱させ判断力を鈍らせていく…。
椅子に座ったまま視線を落とす。
ザックリと開いた胸元…左右に拡がる裾から見える太ももと赤い下着。
一度開いてしまえば閉じることはできない約束事など守る必要などない事もわかっていた。
それでも何故か自分自身の姿に見惚れてしまうように眺め、その行い故に顔を赤く染めてしまう。
『こんなにイヤらしい格好…。』
露出と言う非合法の行為だとしても、その姿に美しさを感じてしまう心も芽生え始めていた。
『露出って…こんな格好を…見られちゃうんだよね…。』
他人からの視線を意識してしまえば、尚更に顔の火照りは増し、染まる赤もより深く色濃くなっていく…。
ふとサイトのコメントに視線を向ける。
私に興味を向けて欲望を剥き出しにするコメントの中に、あの柔らかなコメントに目がとまる。
『えっ…そっ…そうだよね…。個室って言っても…ここはネットカフェなんだよね…。
何枚か板を隔てただけで…隣の人って…。』
誰にも見られる事のない安全な空間だと考えていた想いを打ち砕くようなコメント。
コメントの通り、ここは安全なんかじゃない…ある意味公共の場であって外の世界なんだと思い知らされる。
『えっ…声に…出して…!?そんな…もし聞こえちゃったら…。』
他の人達とは明らかに違う雰囲気のコメント…。単なる指示ではなかった。
まるで私の心の内をえぐるようなコメント。
私の心の奥に眠る何かを引き出そうとするようなコメントに視線も心も奪われてしまう…。
静かに立ち上がる私。チラッと横目で夫が潜んでいるだろう隣のブースと隔てる壁に視線を向ける。
『あなた…こんなこと…。いいんだよね…?これがあなたの望み…なんだよね…?』
夫からのメールが来ないことを確認すると、隣のブースと隔てる壁に身体を寄せる。
震える脚…その震えが心に響き、声帯までも小刻みに震わせる…。
『今…このブースを…覗いたら…。私の…。
私のパンティ…見えちゃいますよ…?』
恐る恐る絞り出すつもりだった…。
囁くように声を潜めて発するつもりだった…。
慌てて口に手をあてて息を呑む。
想像以上に…意思に反して…。
その言葉は思いのほかブース内に響き渡ってしまい焦る私。
隣のブースの誰かに本当に聞こえてしまったかもしれない。
それどころか反対側の夫にも聞こえてしまったかもしれない。
心の中の動揺は全身に震えをもたらす。
その震えがこれから起こるであろう行為の序章に過ぎないということに気づかないまま…。
【遅くなりました。
今日はこのあと来られるかはわかりませんが、とりあえず続きを描いてみました。】
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