何食わぬ顔、とは今の沙織の表情の事を言うのだろうか。
自分には恋人がいる…だが、そんなことは関係ない、のだろうか。
一線を越えてしまった時点で、どちらにも常識を語る資格などないのかもしれない。
しかし恋人がいる女が、そう…何食わぬ顔で別の男の、それも傷心の最中の男の下へと一度ならず、二度…、そして三度目。
都合がいいという言葉を使うのは無神経だろうか…。
ただ、沙織の心中を深く理解することは現状、この男には難しかった。
「くっ…、ま、まぁそう…なんだけど…さ。」
別に性欲の処理に沙織を呼んでいるつもりはない、これは本心だ。
女々しくも一人の女を求め続け、そしてフラれ、自分を保てないほどに心を萎えさせてしまった自分にとって、本当に貴重な存在。
何でも打ち明けられる、そしてどんな気持ちも受け止めてくれる、そんな沙織に感謝したい…、はずなのに…。
身体は正直、なのか。
無意識に沙織のそれを求めているのか、感謝…以上に処理への期待が、沙織の来訪を心待ちにしていたのかもしれない。
見透かされるどころか、はっきりと目に入るほどにジャージの股間部が持ち上がっている。
そんな状況を目にすれば、沙織がそんなことを言い出すのも無理はない。
「嫌じゃ…ないのかよ…。」
ぎりぎり保つ理性が、沙織の気持ちに気遣うような言葉を投げかける。
嫌だと言われたいわけではない、嫌じゃないと言われたい。
でも、心の奥にある悪魔のような自分が「俺が求めたわけじゃない。」「沙織が言い出したんだ。」と、沙織を気遣ったような言葉を使うことで、体裁、言い訳を繕う言葉を紡いだのだ。
ビク…。
そんな言葉をかける最中も、また一つ固さを増したように感じる。
よりくっきりとしたシルエットを、ジャージ越しに浮かび上がらせその先端が微かに滲んでいる様にも見えた。
「か、彼氏のも良く…やってんだろ…?やっぱ…。」
女々しい…。
沙織のかける情け、にさえまともな返答ができず右往左往。
股間は沙織のアプローチを求めているくせに、逃げ口上のように気遣い言葉や彼氏との比較までも持ち出していく。
【容姿の変更等承知しました。
流れが想定と違う場合は都度、都合の良いように修正していただいて構いません。
序盤は特に、想定に齟齬が生じがちなのは理解しています。
紡いでいく中で、描きたいものを理解していき、より描きたかったもの、に近づけていければと思います。
宜しくお願いいたします。】
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