「良いよ〜、甘えん坊め〜っ。ふふっ、じゃあ一緒に寝よっか。」
優が少し元気な顔に戻り、小突きながら戯れあって、ベッドに寝そべる。
優が抱きついてきて、温かさを感じるが、太ももに優のペニスが当たる。
あの人とは違う、すでに柔らかくなってしぼんだペニス。
男として魅力を感じない、弱い男の象徴…。
(…はあ、セックスが全てじゃないって…、分かってるはずなのに…。優とエッチしたいから結婚したわけじゃないもん…。)
どうしても悶々と、欲求不満のまま終わってしまう。
元々優とのセックスではほとんどイったことがない。今まではこんな気持ちになったことはないのに、翔太とのセックス以降身体の調子がおかしい。
その日は目を瞑ってもなかなか眠れなかった。
その翌日、翔太から返事があったとの報告を聞く。
「…うん、分かった…。…は?あ、朝から夜まで…?」
(あの数時間で、あんなに乱れてしまって、あの後からずっとあの時のことを思い出してしまうのに…。1日中って私のこと壊す気…?」
たった数時間で、体力が切れかけるほどの疲労だったが、確かに翔太はまだまだ余裕そうだった。
一日中と言ったら比喩ではなく、本当に一日中だろう。
「…っ、うん、エッチしよっ。優、おいで」
(2日連続なんて、本当に珍しいっ。私が佐藤さんと寝たから…なのかな…。)
優の手を取り、寝室に向かう。
しかし、今日も全く満足できなかった。
あの日以降、優は毎日誘ってくる。
それは心底嬉しいが、そのたびに悶々とするだけの不満が溜まるだけ。
優が不在の時にオナニーをしてみるが、中途半端にイくだけで、余計に辛くなるだけだった。
(あと2日…。)
翔太とのセックスを経験してしまってから、優のセックスはただの焦らしでしかならず、昼夜問わず、常に悶々とする日々を送っていた。
気がついたらカレンダーを確認し、寝取られる約束の日を待ち遠しく思ってしまっていた。
(…優がやりたいって言ったんだから…、私は悪くない…、優が望むことをしてるだけ…)
翔太に一日中抱かれることが決まってから、体力切れで醜態を晒さないように道場で一層鍛錬するが、それと反比例するように心は弱っていた。順調に翔太の思惑通りになっていた。
「今日も道場で仕事だから、帰りにスーパー寄ってから帰るね。…優?」
優のテンションがおかしい。昨夜は仕事が残っていると言って、凛花を先に寝かせた優だったが、寝不足かのように隈ができている。
心配して声をかけるが、返答も薄く、心ここに在らずという姿。
どうも心配だが、優を見送って、自身も道場に向かった。
その夜、また優から誘いを受け、一通りセックスをした。一度も甘イキもできず、悶々としたままのピロートーク。
「…え?い、いやっ、あの、優がやりたいって言ったんでしょ?む、無理とかじゃないし、その、嫌だけど、そりゃ…。でもさ、優のためならなんでもするから…。」
(今さら何言ってるの…っ?佐藤さんとの約束がなくなったら、この身体の疼きはどうなるの…?一生このままで放置されるなんて、気が狂っちゃうわよ…っ)
優の優しい提案。翔太と出会う前だったら、一回目の寝取られの前なら、確実に提案に乗っていた凛花。しかし、今は鼻息荒く、少し焦って言葉に詰まりながら断る。
今さらキャンセルしたら、凛花のこの不満は誰が解消するのか。確実に優ではできないこと。
「明日、美容室行ってくるから…。」
タイミング的にも翔太のために身だしなみを整える美容室。優には、翔太から送られてきた映像の凛花の姿がチラつく。
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