「全部演技…、全部…。」
シャワーを浴びながら、自分にも言い聞かせるように呟き続ける。
途中までは理性があった…、けど、首を絞められたあたりからもう心に優はいなかった。
その瞬間のことをはっきり覚えているからこそ、罪悪感に強く苛まされていた。
シャワーで汗や体液を流したあと、気まずそうに、のそのそ部屋に戻った。
(ぅわ…、私の…、なんか色んな…。汗とか…、それ以外にも…。)
下着を身につけながら、ふとベッドが目に入る。
汗や愛液、ゴムから垂れた精液で汚れたシーツが、先ほどのことを嫌でも思い出させる。
演技と納得させようとしているが、長い縁の優にも見せていない深い内面を見せてしまい、まともに顔も見れない。
「…は?ぁっ、手はちょっと…。それに、手を繋いで外を歩くなんて、今時カップルだって…。…っ、ぁんっ❤︎」
タメ口で高圧的に命令されると、子宮が疼く。
びくっと震え、小さく頷いてしまう。
2人の間に上下関係みたいなものが、M性のせいで、身体に刻まれてしまっていた。
結局逆らえず、指を絡ませ、手を繋いでラブホテルを出た
(…、優…。ああ…、動揺してる…。可哀想…。)
手を繋いで現れた凛花達を見て、明らかに動揺している優。可哀想で、とても見てられなかった。
(…次の機会なんて、そんなものないもん…っ!…でも、1日中なんて、そんなことされたら…、私…。)
あのセックスを1日…、想像しただけで足腰が抜けそうになり、虚勢だけども睨み返す。
しかし、最初の時とは異なり、迫力や威勢のようなものは一切感じられない。
手を振り解くと、優の元に駆け寄った。
そのまま2人で帰路に着くが、翔太としたような手を繋ぐことなど、会話すらもままならない。
(優の顔もまともに見れないよ…。他の人とあんなことした直後に、何を話せばいいの…。)
無言のまま、歩き続けてやっと家に着く。
何も話せず、まともに目も見れず、妙に長い時間が流れたように感じた。
「…疲れてるに決まってるでしょっ。アンタがとんでもないわがままを言ったせいで〜っ!」
(あれ…、意外といつもみたいにできた…。)
優がおずおずと口を開くと、すぅっと息を吸って、大声で怒鳴った。
優に対してとんでもなく気まずかったが、一度始まると前の調子になれた。
ホッと安心し、べらべらと続ける。
「…はあ、もう。珍しく自己主張したかと思えば、訳わかんないことさせて…。ほら、動画ラインに送っとくから。」
スマホを操作し、撮影した動画を送る。
動画時間は明らかに短く、優がそのことを指摘すると…
「は、はあっ!?文句でもあるの…っ!?動画の時間短いのは、すぐにエッチ終わったし、気持ちよくもなければ気色悪いだけで、やってらんなかったからよ。吐き気するからすぐに終わって、適当にカフェとか行って時間潰してたの。…疲れたから、ちょっと寝る…っ」
饒舌に捲し立て、早歩きで寝室に向かった。
しかし、こんな感想や動画で優が満足する訳がなかった。
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